路傍の感想文

創作物の感想

2019年上半期にプレイしたゲーム

 2019年上半期にプレイしたゲームの感想

 

【男性向けゲーム】

・『DEAD DAYS』

乙女ゲーム

・『絶対迷宮 秘密のおやゆび姫』

・『蝶の毒 華の鎖』リパッケージ版

・『愛は、憎しみによく似ている』

・『オルフレール』

・『女王蜂の王房 めのう編』

・『女王蜂の王房 輝夜編』

BLゲーム】

・『神学校-Noli me tangere-』

・『スクエアな関係~ぼくらの恋愛心理学3~』

・『臨海合宿』

・『Paradise極-KIWAME-』

・『オメガヴァンパイアSwitch』

 

 

【男性向けゲーム】
・『DEAD DAYS』(CLOCKUP

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見知らぬ場所で目覚めた学生・暮坂照。照は一度死んだ人間だが、この世に存在する亡霊を始末すると余命が与えられるのだという。照は同じように一度死んだ人間たちと亡霊退治を始める。

2019年6月28日発売。18禁ゲーム

CLOCKUPに最も期待しているのは、真相ルートのどんでん返しである。散りばめられた伏線が回収され、明らかになる真実。これまで見ていた世界を塗り替えて新しい世界が現出する驚きと爽快感。最新作『DEAD DAYS』はさぞあっと驚く仕掛けがあるのではないかと楽しみにしていたが……。
確かに、真相ルートでもある幼馴染み・安宅真魚のルートで伏線は回収された。記憶喪失の青年・天願壮吉の正体も予想外であった。しかし、布良麻奈美と三峰あいらの個別ルートは中途半端なところでエンディングを迎え、カタルシスを得られない。布良エンドと三峰エンドは新たな物語の始まりにすぎず、もっと描けたのではないか。真相ルートでは主人公の活躍が省かれ隔靴掻痒の感が拭えなかった。


特筆すべきキャラクターは天願壮吉(演:野☆球)。

彼は過去も家族も持たない青年である。自分が何者なのか分からない天願は主人公の仲間に加わって生きるための戦いに身を投じる。やがて真相ルートで解き明かされる彼の秘密は悲痛なものであった。

天願は望まれて生まれてきたわけではなかったのである。

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生みの親とも言える人物からは死を望まれ、かつては行動を共にしていた主人公も天願を消滅させるべく戦いを挑む。天願が天願として生きた想いも人生も顧みられることはなく、ただひたすらに踏み潰される。

天願が生まれてきたことは罪だったのか。愛されることを望んではいけなかったのか。

 

あくまで主人公の視点で語られる本作では、天願の想いを汲むことはない。他者から必要とされることもなく、天願は消えていく。

犬童瑛太(演:綾野綾斗)が天願を友として覚えていることがせめてもの救いである。

 

 

次点で強く記憶に残ったキャラクターは、メンヘラ系少女・鮫肌キルル(演:葵時緒)。

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愛情表現に問題はあれども、キルルの主人公への想いは純粋だった。キルルも一人の恋する女の子である点では他の女性たちと遜色ない。しかし、主人公のキルルへの態度は一貫して冷たく、布良や三峰に囁いた偽りの優しい言葉をかけることすらない。

愛される者と愛する者の関係は対等ではない。どれほど熱烈に愛を捧げても、愛されることに慣れた者はいとも簡単に愛を切り捨てる。


キルルが好きなエロゲとして挙げたのが『沙耶の唄』と『ゴア・スクリーミング・ショウ』というグロテスクでありながら純愛を描いた作品である点は、キルルの純愛志向を窺い知れる。キルルの命を懸けた愛は主人公に届かなかったが、決して無駄ではなかったはずである。

 

 

乙女ゲーム
・『絶対迷宮 秘密のおやゆび姫』(花梨エンターテイメント)

絶対迷宮 秘密のおやゆび姫 - PSVita

絶対迷宮 秘密のおやゆび姫 - PSVita

 

 田舎の小さな村で暮らすシャルロッテは、突然身体小さくなり、おやゆびほどの大きさになってしまった。さらに、謎の兵士に村が襲われてしまい、家族を失ってしまう。シャルロッテは体を元に戻すため、旅立つが……。

 2015年7月30日発売。全年齢乙女ゲームPSVita)。

アンデルセンの童話をモチーフにしたファンタジックな作品。

攻略対象は十一名。女性キャラクターも攻略できる。

個別ルートはいずれも丁寧だが、とりわけ裸の王様(演:黒田崇矢)ルートに心掴まれた。

裸の王様は幸福な王子の成れの果てだった。哀しき暴君の過去に涙が止まらなかった。

 

 

・『蝶の毒 華の鎖』(アロマリエ

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没落華族の令嬢・野宮百合子の誕生日パーティーは、突然現れた反政府勢力によって荒らされてしまう。さらに、百合子の父である野宮家当主が何者かによって殺害される。

2018年8月10日発売。18禁乙女ゲーム

大正時代を舞台にした愛憎劇。攻略対象は、華族の兄、成金、執事、軍人、庭師の五名。

噂に違わず優れた作品だが、真相担当キャラクターへの偏重が見られる。

 

 

・『愛は、憎しみによく似ている』(PIL-VAMP)

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昭和初期の東京。タイピストの成嶋綾子は、資産家の遺言執行人を名乗る弁護士・蒲生龍彦に頼まれて、遺言状公開の場に立ち会うことになるが……。

2018年2月23日発売。18禁乙女ゲーム

資産家が残した遺産を巡る愛憎劇。攻略対象は、弁護士、精神科医、帝大生、異国人の四名。

サスペンスとしては薄味。登場人物が少ないため、容易に犯人を予測できる。

しかし、キャラクターは魅力的で、倒錯的な結末は読み応えがある。
なかでも、弁護士の蒲生龍彦(演:鳩マン軍曹)に対する拷問シーンは美しい。椅子に縛られて苦悶の声を上げる蒲生の姿は目に焼き付いた。

 

 

・『オルフレール』(A’sRing)

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田舎の村で暮らすクレア・アイシアは、ある日突然両親を失ってしまう。窮地を助けてくれた騎士アデル・リードの家でメイドとして働くことになるクレアだったが、「リード家の四兄弟から一人を選んで専属メイドになるように」と命じられる。

2015年1月30日発売。18禁乙女ゲーム

攻略対象は騎士たち六名。

 

 

・『女王蜂の王房 めのう編』『女王蜂の王房 輝夜編』(PURE WOOL)

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王城の奥深くで育てられた王女めのうは、女王の自覚を持てないまま日々を過ごしていた。ある日、母である女王から王女の輝夜を暗殺せよと命じられる(めのう編)

王位継承者である輝夜は、数年前に下界に落とされて、雄たちの慰み者にされていた。女王の死期が近付いたとき、輝夜は王城へ反旗を翻す(輝夜編)

めのう編は2014年2月28日発売、輝夜編は2014年3月28日発売。18禁乙女ゲーム

舞台は蜂が支配する世界。次代の女王蜂の地位を巡って、二人の王女と雄蜂たちの思惑が交錯する。攻略対象は、めのう編三名、輝夜編三名。

世界観の説明不足や駆け足なシナリオ等難点はあるものの、誇り高く生きようとする王女輝夜の姿に胸打たれる。身体を汚され、他者から嘲笑されようとも、心だけは誰にも明け渡さない。己を信じ、生き抜こうとする輝夜が美しく、彼女の苦難に満ちた旅路を最後まで見守っていたいという気持ちを抱かせる。

 

めのう編の攻略対象・白鴎(演:平井達矢)と輝夜の因縁には泣かされた。f:id:bodensee:20200925174828j:plain


基本的に気のいい兄ちゃんの白鴎は輝夜にアドバイスをしてくれる。しかし、輝夜を愛してはくれない。愛されるめのうと愛されない輝夜の差はどこにあるのだろう。輝夜を助けようとしたのは好意からの行動ではなく功績を上げるためだったという白鴎の言葉は残酷だ。

 

 

BLゲーム】
・『神学校-Noli me tangere-』(PIL/SLASH)

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生誕祭の夜、マイケル・レヴィは神の姿を見失った。大切な家族を失ったマイケルは神を呪いながら、事件の真相究明に乗り出すが……。

2011年3月30日発売。18禁BLゲーム。
舞台は英国の神学校。神は聖職者を目指す少年たちに苦難を与える。神は何故愛する人を奪うのか。祈りは届かないのか。

生と死、罪と罰、愛と憎しみ。葛藤と相剋の果てに、神を捨てた主人公が信仰を取り戻すまでの過程が描かれる。

重厚なテーマと繊細な心理描写は見事。グラフィックも美しい。

 

 

・『スクエアな関係~ぼくらの恋愛心理学3~』(アイン)

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元売れっ子ホストの小早川は、退職金代わりに貰った4LDKのマンションで暮らしつつ、趣味のパチスロを打ちに近くのホールへ通っている。ある日、顔見知りの常連客・蒼井が一文無しになったと知った小早川は蒼井をマンションに住まわせることに。さらに、高額の借金を背負った大学生・西田や暴漢に襲われた大学生・岸本も小早川のマンションに身を寄せる。

2007年9月21日発売。18禁BLゲーム。
ひょんなことからルームシェアを始めた男性四名の総当たりリバ作品。平井達矢×青島刃、皇帝×青島刃、空乃太陽×青島刃の組み合わせは珍しいのでは?

 

日常の中で恋が育まれる本作。穏やかな生活が描かれるが、現実と地続きの舞台だからこそ、金銭的な問題が気にかかった。特に、パチプロ蒼井(演:平井達矢)×元ホスト小早川(演:青島刃)の無職CPの行く末が心配になる。所謂誌上プロでもないのに、パチンコだけでこの先生きていくつもりなのか?パチプロ梁山泊にでもなるのか?喫茶店の店長(演:魁皇楽)から「働いてくれないか」と誘われた蒼井が、「小早川を抱く時間が減るから」という理由で断ったシーンに目が点になった。確かに青島刃の受けは貴重だが、恋より優先すべきことがあるのでは。

  

 

・『臨海合宿』(β-pink)

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夏休み直前に転校した真田直登。クラスに馴染めないまま、合宿行事が始まってしまう。初日からトラブルが続き、ついには事件に巻き込まれる。

2007年10月26日発売。18禁BLゲーム。

MERRY BOYSから発売された『修業旅行~古都迷走地図~』の姉妹作。

千葉県館山市良浜に伝わるメラ星(アルゴ座のカレーブス)の民話をベースに、ひと夏の冒険が描かれる。攻略対象は、クラスメイト、大学生、近所の医者の計五名。別軸リバあり。


ホラーあり、ミステリありと、『修業旅行~古都迷走地図~』と同じくルートによって真相が変わるシナリオ構成は飽きさせない。

 さらに、恋愛ゲームの攻略対象に太田昭次郎(演: 瓶野良夢音)のような性格のキャラクターを設定する試みが面白い。空気が読めず、お節介。善良さ故に他人の事情に介入し、押し付けがましい。良い人だが煙たがれる人物をよくぞここまで徹底的に描写したと感心した。

 

 

・『Paradise極-KIWAME-』(PIL/SLASH)

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『Paradise』シリーズ三作目。一作目のif展開が描かれる。

商店街の福引で南の島へのリゾート旅行を引き当てたアヅマ。期待に胸を膨らませるアヅマを待っていたのは、男だけの無人島6日間の旅だった。

2019年7月26日発売。18禁BLゲーム。

今季の問題作。半年前から予約し、PIL/SLASH系列の『神学校』『愛は、憎しみによく似ている』をプレイしつつ発売を楽しみにしていたら、発売三週間前に原画のことみようじ先生の降板が発表された。一作目のキャッチコピー「最凶で最虐の悪夢」とは発売日目前の原画降板を指していたらしい。見事な伏線回収である。
2月に原画降板が決まったらしいが、何故7月まで公表しなかったのだろう。PIL/SLASHの企業態度に疑問を抱かずにはいられない。


原画に目を瞑ってシナリオだけに集中する気持ちでプレイを始めたら、原画の問題を忘れるほどにシナリオの完成度が低かった。

本作の目玉である島からの脱出方法もホウライグループの瓦解方法も見たかったのはこれじゃない……と思わずにはいられなかった。

 

マツダルートも残念に尽きる。

マツダと言えば容赦のない暴力。「痛がってるとこ見ると勃起するし、殴ってるっつう行為だけでも勃起する」どうしようもない性癖。しかし、本作のマツダは一作目のような暴力を振るわない。あれほどに己の暴力性に悩んでいたマツダがいとも簡単に暴力への欲求をコントロールできるようになっている。これではまるで一作目のマツダ意志薄弱で愚鈍な人間のようではないか。

 

 

・『オメガヴァンパイアSwitch』(花梨シャノアールオメガ、プロトタイプ)

オメガヴァンパイア - Switch

オメガヴァンパイア - Switch

 

 2016年発売の18禁BLゲーム『オメガヴァンパイア』のSwitch移植版。

ごく普通の学生・守矢刑一は、事故をきっかけにオメガ属性のヴァンパイアになってしまう。血を欲する体に悩みながら、刑一はヴァンパイアと学生生活を両立しようとするが……。

2019年8月29日発売。全年齢BLゲーム(Switch)。
今季の問題作その2。『乙女剣武蔵』の隆盛と雑誌『Cool-B』の記事から薄々察していたが、追加要素は新規スチルのみのベタ移植だった。肝心の新規スチルも3枚(差分除く)で、うち2枚は既に『Cool-B』誌上に掲載されている(なお1枚は公式サイトでも目にすることができる)。

本命のハインリヒの新規スチルはBADエンドにあった。目と口から血を噴き出して命を落とすハインリヒを見るために8640円払ったのかと思うと感慨深い。
 

オメルタ~沈黙の掟~ THE LEGACY』のようなシナリオ改変や『オメルタ CODE:TYCOON戒』のような新規SS追加もないベタ移植で売上が上がるとは思えない。そもそも人を選ぶテーマで売上が厳しいことは予測がつくだろうに、宣伝も店舗特典も不足している。
『乙女剣武蔵』の運営で花梨も原画担当も忙しいのならば、無理に移植する必要はなかった。