路傍の感想文

創作物の感想

このOPムービー・PVがすごい!(BLゲーム編)

BLゲームを購入するとき、何が決め手になるのか。

あらすじ、キャラクター、ブランド、シナリオライター、原画、声優。

学園ものか、マフィアものか、SFか。

 

人によって好みが異なれば、求めているゲームも当然変わる。

BLゲームに興味があるが、どれを選べばいいのか分からない……と戸惑うユーザーも少なくないだろう。

そんな迷えるユーザーのために購入の指針となるのが、ゲームの情報を端的にまとめたOPムービーとPVである。

 

 

躍動感があるOPムービー。

幻想的なOPムービー。

これまで多種多様なBLゲームが誕生する中で、数多くの魅力的なムービーが作られてきた。

 

 

ここでは、備忘録がてら個人的に好きなBLゲームOPムービーとPVをご紹介します。

※公式が投稿した動画のみリンクしています。

※未プレイ作品も含みます。

※個人の解釈を含みます。

 

 

 

【紙芝居型ムービー】

静止画の素材を活用して動きを作るOP。

タイトル→主人公の立ち絵&名前&担当声優の名前→攻略対象の立ち絵&名前&担当声優の名前→スチル、の流れが定番。

 

 

・『鬼畜眼鏡』(Spray)2007年

ムービー制作は神月社。主題歌「under the darkness」の作詞・作曲・歌唱を手掛けるのはC.G mix

 

言わずと知れた有名OPムービー。有志によって数多くのパロディMADも制作された。

立ち絵のシルエットに「無能な人間はこのプロジェクトに必要ない」「全部俺に任せとけって!」の台詞を被らせる演出、裸眼の主人公と眼鏡をかけた主人公の対比、スポットライトを浴びる眼鏡、など見所多数。

さらに、本ムービーの特徴は、キャラクターの画像のみならず、背景画像も豊富に使用している点。なかでも夜のビル街の画像が多く、サラリーマンものBLらしいセレクトである。

 

 

・『スクエアな関係~ぼくらの恋愛心理学3~』(アイン)2007年

ムービー制作はおのあきひろ。主題歌「予感の予感」を歌い上げるのは、メインキャラクターのひとりを演じる青島刃。

 

「星占いはもう信じない」と歌った直後に流れ星が煌めくカットが印象的。

注目は感情表現が乏しい蒼井悟が口角をわずかに上げる場面。恋が彼の心に変化を及ぼしているのが見て取れる。

 

 

・『メイド★はじめました~ご主人様のお世話いたします~』(VividColor)2007年

ムービー制作はKIZAWA studio。主題歌「Evolve」を歌うのはAciD FLavoR。

 

五組のカップリングを分かりやすく教えてくれるムービー。地雷がある人でも安心安全。

画面上をSDキャラが闊歩し、ムービー全体を明るく盛り上げている。

 

 

・『花陰~堕ちた蜜華~』(VividColor)2009年


花陰−堕ちた蜜華−デモムービー

ムービー制作はKIZAWA studio。主題歌「フェイト」を歌うのはフロムナウ。

 

随所に映る彼岸花のモチーフと情感溢れるメロディラインが織り成す耽美系OPムービー。遊郭でお職と客が対面するときのように、襖を開閉させてキャラクターを紹介する。

夕焼けの空に攻略対象たちの顔が次々に浮かぶ場面があるが、よく見ると一名足りない。顔が浮かばなかった「彼」は、主人公と因縁を持つキャラクター。想い起すことすら許されない点に、「彼」の複雑な立ち位置がよく表れている。

 

 

・『STEAL!』(Spray)2009年

ムービー制作は神月社。主題歌「TRUE EYES」の作詞・作曲・歌唱を手掛けるのはC.G mix

 

鬼畜眼鏡』を生み出したSprayより発売された怪盗養成学園BLゲーム。疾走感のあるムービーで、攻略対象八名の紹介もテンポよく進む。立ち絵、アルファベット表記の名前、CODENAME、立ち絵のシルエット。情報量が多いが、不思議とごちゃごちゃした印象は受けない。

有刺鉄線のモチーフからは緊迫感が感じられる。

 

 

・『神学校-Noli me tangere-』(PIL/SLASH)2011年


『神学校 -Noli me tangere-』オープニングムービー

ムービー制作は神月社。主題歌「Noli me tangere」の作詞・作曲を手掛けるのは細井聡司、歌うのはLyriss。

 

「必ず死刑に処せられる」

聖書の一節から始まるOPムービー。

「僕らは許されない。最後の日にはきっと地獄に堕ちる」扉を閉めて、場面が切り替わると、現れるのは光溢れるステンドグラスの教会。賛美歌風の歌声を背景に、祈りを捧げる神学校生たち。清純な彼らに忍び寄る不穏な影。血飛沫と「いまだかつてない悪夢が、始まる―」のフレーズの後に、再び教会が映って、神による赦しが描かれる。「信仰と罪」のテーマに沿った完成度の高いムービーである。

 

 

・『オメルタ~沈黙の掟~』(花梨シャノアールオメガ)2011年


オメルタ ~沈黙の掟~

ムービー制作は株式会社クリープ。主題歌「卑怯者のエレジー」の作詞はシナリオ担当の菜摘かんな、作曲はIRUMA RIOKA、歌うのは主人公役の城ケ崎仁。

 

城ケ崎仁の歌声が聴く者の耳を捉えて離さないOPムービー。

キャラクターの性格を象徴する台詞から始まって、名前・役職・二つ名・担当声優・キャッチコピーの畳み掛けにより、否応なく登場人物の情報が頭に叩き込まれる。「鮮血の針(アイスピック)」「虐殺の帝王(キングジェノサイド)」など、視聴者のために振り仮名をつけることも忘れない。

マフィアをテーマにした作品らしく「歓楽街」「血の掟」「殺し屋」「粛正」「裏切り」「復讐」といった物騒な言葉が乱舞する場面に、あえて「草鞋」という単語を入れるのが花梨のセンスである。

 

 

・『大正メビウスライン』(LoveDelivery)2012年


mebiusline op

ムービー制作は松根マサト(アリスフロムジャパン)。主題歌「咎の雫」を歌うのは六弦アリス。

 

地球全体を映した上で日本をクローズアップし、「極東の島国」のイメージを想起させる。

「日本(ニッポン)が軍事国家(グンジコッカ)として世界(セカイ)と争(アラソ)わねばならない熾烈(シレツ)な時代(ジダイ)」

あえてカタカナの振り仮名を用いることで、大正レトロの雰囲気を醸し出すと共に、緊張感も与えている。

映写機のフィルム回しを模したスチル紹介では映画的演出が意識されている。

 

 

・『神様(仮)路地裏繚乱編』(easy-peasy)2013年


神様(仮)路地裏繚乱編【オープニングムービー】

ムービー制作はKIZAWA studio。主題歌「GOD BLAZE YOU」の作詞はaruy、作曲・編曲は小嶋史光、歌うのは浜口祐夢。

 

同一の立ち絵とスチルを繰り返し使用するOPムービー。わずか1分53秒の間に、サングラスをかけた賀茂さんのスチルが三回も登場。

素材が少ないという課題を前に、スチルの差分違いを活かして、魅力的なムービーに仕上げたのは見事。本編は名作です。

 

 

・『きんとうか』(GRISEDGE)2017年


【Win用BLPCゲーム きんとうか】OPムービー 【2017年3月17日発売】

夏の島を舞台にした作品。太陽光をイメージした光のエフェクトが爽やかな印象を与える。主題歌「十字路」を歌うのはいいくぼさおり

 

スチルをスナップ写真に見立てることで、主人公のカメラマンという職業を特徴づけると共に、主人公×攻略対象のストーリーを「ひと夏の思い出」に仕立て、ノスタルジーに訴える。作品内の季節に合わせたOPムービーである。

 

 

・『GALTIA V Edition』(GRISEDGE、dramatic create)2018年


PSVita版 GALTIA V Edition(ガルティア ヴイ エディション) オープニングムービー

18禁ゲーム『GALTIA』のPSVita移植版。18禁版から主題歌と構成をがらりと変えた新規ムービー。ムービー制作は神月社、かがみ。主題歌「Affector」の作詞・作曲・歌唱を手掛けるのは一之瀬ユウ。

 

剣を構えたスチルや緊迫した状況のスチルが挿入され、バトルアクションを期待させる内容に仕上がっている。

 

 

・『贄の町』(√ZOMBILiCA)2018年


『贄の町』デモムービー

ムービー制作はB.J(Mju:z)。主題歌「オアシス」の作詞・作曲・編曲を手掛けるのはアキ子ちゃん、歌うのは黒丸。

 

顔面上で模様が回転するシーンは生理的な嫌悪感を引き出しかねないが、「ホラー/エロ/昭和/グロ/ナンセンス」を掲げた本ブランドの作風には合致している。

主人公、攻略対象、サブキャラクターの紹介は丁寧で、キャラクターの個性が一目瞭然である。

 

 

 

【動画型ムービー】

アニメーションやCGを取り入れたOPムービー。その技術力と資金力に圧倒されること間違いなし。

 

 

・『DRAMAtical Murder』(Nitro+CHiRAL)2012年


『DRAMAtical Murder』 OP

物語の舞台を縦横無尽に歩く主人公と犬。犬の小刻みな歩行にこだわりが感じられる。

光を追いかけて螺旋状の階段を登ると、タワーが聳え立ち、水泡が弾ける。光は「彼」、水泡は「あの記憶」。過去を辿って真実に辿り着く過程を表現している。

 

 

・『DRAMAtical Murder re:connect』(Nitro+CHiRAL)2013年


『DRAMAtical Murder re:connect』OP

DRAMAtical Murder』の続編。資金を武器に、Nitro+CHiRALはついに街を作り上げた。

 

 

・『ラッキードッグ1』(Tennenouji、プロトタイプ)2018年


PS Vita用ソフト「ラッキードッグ1」オープニングムービー

同名の同人ゲームのPSVita移植版。マフィアの脱獄と抗争を描く作品。ムービー制作は松根マサト(アリスフロムジャパン)。

 

OPムービーでは、主人公と攻略対象の立ち絵がアニメーションに変化する。

スチルを新聞記事、ゲームジャケットを指名手配に見立て、ムービー終盤で主人公が指名手配を剥がす。ゲーム本編の展開を予想させる行動である。

 

 

・『Lkyt.』(parade.) 2020年


『Lkyt.』オープニングムービー

主題歌「Lkyt.」の作詞は企画・脚本・監督の雨宮充、作曲は上原一之龍、歌うのはMAMI。

 

眼下に広がる荒廃した大地。場面が切り替わると、主人公と攻略対象が黒い粒子に分解される。重厚な歌を背景に、「滅びの始まり」の幕開けが描かれる。

 

 

【歌に注目】

・『神無ノ鳥』(すたじおみりす team L←→R)2002年


www.youtube.com

泣きゲー」「鬱ゲー」と評される作品。

片霧烈火が作詞・歌唱、たくまるが作曲・編曲を手掛けた主題歌「ふたりの場所」は哀愁漂うメロディラインと本編シナリオを追懐させる歌詞で知られている。

「いつかこの長い長い時を超えて誰も知らないふたりの場所を見つけよう」

 

 

・『PLEASURE☆』(BARON)2004年


【裸バスケ】Pleasure☆ BLG主題歌

「裸バスケ」の愛称でお馴染みの迷作BLゲームの主題歌「Soldier's dream」は、ゲーム本編に負けず劣らずの伝説級の歌声。歌うのは佐々木太一、篠原響役の比留間れん。コメント欄のOPムービー誕生秘話は必見です。

 

 

・『俺の下でAGAKE』(ディースリー・パブリッシャーD3PUBLISHER INC.))2007

18禁ゲーム俺の下であがけ』のPS2移植版。攻略対象たちに高額の借金を背負わせる作品。主題歌「俺の下であがけ」を歌うのは主人公役の緑川光

緑川光の高い歌唱力と攻め役の赤裸々な心情を綴る歌詞が有名。

「狙い定め落とし俺の腕へ抱く」

「熱いその体組み敷くまでどこまでも追い込んでく」

 

 

・『君の中のパラディアーム』(Chat Errant)2009年

崩壊が進む世界の中で、神に抗い、恋を貫く作品。霜月はるかが作詞・歌唱、羽鳥風画が作曲・編曲を手掛けた主題歌「楽園の鍵」は、楽園で囀る神の子たちの歌。

「Le fils de Dieu, ce monde qui tu sais et tu vis,c’est a toi.(神の子よ。汝が知り、生きる世界は、汝のものである)」

 

 

・『裸執事』(マーダー工房)2011年


『裸執事』オープニング(★あり健全Ver)

作品コンセプトを明確に打ち出した主題歌「裸執事」。歌唱を担当するのは金瓶梅。主題歌に合わせて製作者の倒神神倒が踊る動画も発表された。

動画サイトに投稿する際に「★あり健全Ver」にした上で年齢制限をつけたり、踊ってみた動画のタイトルに「閲覧自己責任」と注意書きをしたりと、配慮が行き届いている点も高評価。

 

 

・『オメガヴァンパイア』(花梨シャノアールオメガ)2016年


オメガヴァンパイア オープニングムービー

KIZAWA studio制作のOPムービーは花梨ゲー定番の構成。

ポイントは主人公役の佐和真中が歌う主題歌「衝動ケロイド・ヒロイック」。作詞は花梨専属シナリオライターの菜摘かんな、作曲は鈴葉ユミ。一見普通の歌だが、歌詞カードを読むと衝撃を受ける。人前で歌うときは気を付けましょう。

 

 

 

【PV】

ゲームの冒頭を飾るOPムービーとは異なり、店舗や動画サイトにおける公開を前提とした動画。プロモーションの一環として制作され、キャラクターの音声や詳細な粗筋のテロップが入れられる。

 

 

・『死神修行はじめました。』(MONOCEROS)2005年

パワーポイントで作ったのか?と思わず目を疑うデモムービー。

2005年という点を差し引いても、「オーマイガー」「シクシクシク」「全米が泣いた」は独特の言語センスである。「大晦日の前日」に「インストア」する販売戦略もすごい。

 

 

・『臨海合宿』(β-pink)2007年

高校生たちのひと夏の冒険を描く作品。デモムービーでは、ディレクターの米倉俵が作詞を手掛けた主題歌「ピーカン☆Midsummer」に乗せて、サングラス男のドヤ顔が登場。さらにキススチル五連発(まさかの主人公×眼鏡少年がセンター)。何故そこを選んだのか。

 

 

・『オメルタ~沈黙の掟~』(花梨シャノアールオメガ)2011年


オメルタ ~沈黙の掟~ OPMOVIE 橘陽司Ver

OPムービーにキャラクターのナレーションを被せた動画。主人公と攻略対象の計八種類が制作されている。

ナレーションではキャラクターが心情を吐露。各人の性格や立ち位置が分かる内容となっている。

キャッチコピー「お前を、殺したいほど 愛し、憎んだ」もキャラクターの性格に合わせて文章が改変されている。

 

 

 

いかがだったでしょうか。

好きなBLゲームOPがあった方、もっと良いOPムービーがあるぞ!と思った方、色々ご意見はあると思いますが、少しでもBLゲームの魅力が伝えられたならば幸いです。