路傍の感想文

創作物の感想

ゲーム『memories』感想

「じゃあ、伊生堂万歳だ。お前は、伊生堂でオレを惑わせる」

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高校二年生の樋口由美は、両親の海外転勤を機に、聖クラウス学園に転入することになった。新しい環境の中で戸惑いながらも、由愛会(生徒会)の役員である同級生の出水由香利と仲良くなり、学園生活を満喫する由美。さらに、個性的な男の子と知り合い、初恋を経験する。

ショコラティエより2010年4月28日発売。

現代日本の学園を舞台に、女子高生の初恋の記憶を辿る18禁乙女ゲーム

 

 

両親の海外転勤を機に、聖クラウス学園に転入した高校二年生の樋口由美。

由愛会の役員を務める同級生の出水由香利(演:水廉)に助けられながら新生活を始めた彼女に、様々な男性たちとの出会いが待ち受ける。

 

 

攻略対象は、同級生のバンドマン上条隼斗(演:佐藤タカオ)、由愛会会長の十津道也(演:先割れスプーン)、御曹司の先輩最勝寺嘉隆(演:神凪儚)、虚弱な後輩浅葱樹(演:神奈紘飛)、学園長の小野瀬敦司(演:青島刃)の計五名。

 

 

プレイ順は、小野瀬敦司→上条隼斗。

 

 

①小野瀬敦司(演:青島刃)

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聖クラウス学園の学園長。穏やかな性格で、年下の学生たちにも丁寧に接する。

 

小野瀬ルートは、上条隼斗ルートもしくは浅葱樹ルートから分岐するシナリオ。上条や浅葱と関係を持つものの、小野瀬に好意を寄せる物語である。

 

〈上条隼斗ルートから分岐する場合〉

同級生の上条と体の関係を持った由美だったが、翌日の彼の言動は期待からかけ離れていた。下の名前を呼んでほしいと望む由美に対し、上条は「樋口」と声を掛けたのだ。由美は不安に襲われる。さらに、由愛会会長の十津道也が由美と上条の交際に反対する。

上条との交際に悩む由美に優しい言葉を掛けたのは、学園長の小野瀬だった。学園長室で言葉を交わした由美は、小野瀬に好意を持ち始める。ついには告白するが、「教師としての立場ではその気持ちに答えることはできません」と断られる。自省した由美は、高校を卒業するまで小野瀬とは一線を引くことに。数年後、高校を卒業し、生徒と教師の間柄ではなくなった由美と小野瀬は無事に結婚式を挙げるのだった。

 

 

由美の心変わりの早さを描くルート。

下の名前で呼ばないという事由のみで上条を嫌悪し、小野瀬に心を傾ける由美。彼女の言動は我が儘で思慮に欠ける。小野瀬は由美が礼節を弁えているところと一緒にいて気持ちが負担にならないところを気に入ったと説明するが、劇中の由美の行動の何処にそのような美点を見出したのかは不明である。

シナリオの整合性も取れておらず、ほぼ面識がない浅葱樹や最勝寺嘉隆、嘉隆の妹の莉子(演:マヲ)が由美の部屋を訪れて結婚を祝福するのは不自然な展開である。

 

 

〈浅葱樹ルートから分岐する場合〉

下級生の浅葱樹と交際を始めた由美。彼は遺伝性髄鞘障害を患っており、長くは生きられないという。

そんな折、由美は小野瀬から声を掛けられる。

「あまり下を向いていても、そうそう幸せは落ちているものではありません。せめて、顔を上げてお行きなさい」

小野瀬は学園パンフレットに使用する写真の撮影を行っていた。由美は小野瀬と学園内を散策しながら、撮影を手伝う。聖クラウス学園にはかつて「爆釣部」なる部活があった等、楽しそうに学生時代の思い出を語る小野瀬。

由美が悩みを相談すると、

「後から考えたらなんでもない、ささいなことなのにとても大きな問題に感じたり……」

「逆に、将来に関係してくるような大きな問題をサラっと決めてしまえたり、ある意味神秘的で、とても面白い」

自身も由美と同じように悩む子供だったと語る。

「今となれば、懐かしくて面映ゆい。自分のものであった時は恥ずかしく、ままならなかったものですが」

「大丈夫です。あなたの中にも、きっと解決できるだけの力があります。……元、子供としての一意見です」

あなたならば自分の力で解決できる。答えの提示はしないが、教師として手助けはするという小野瀬。教師として、人生の先輩として頼りになる彼の返答を聞いた由美は、好意を抱き始める。

 

その後の内容は、〈上条隼斗ルートから分岐する場合〉と一言一句同じテキストで、上条と浅葱、正反対の男性を経由したにもかかわらず終着点が同一という不可思議な展開を見せる。上条ルートとは異なり、浅葱を通して最勝寺兄妹と関わるため、結婚直前の兄妹の訪問は有り得ない事態ではないが、難病の浅葱が涼しい顔で由美の結婚を寿ぐのは奇妙と言わざるを得ない。

 

 

②上条隼斗(演:佐藤タカオ)

聖クラウス学園二年生。由美の同級生。バンド活動をしている。

由愛会会長の十津道也とは犬猿の仲。

 

商業ゲームとしての質が問われるルート。

 

個別ルート序盤、由美と二人きりでカラオケを楽しむ上条。

だが、突如何者かに話し掛ける。

テキスト「メロディが楽だったからな。いい歌だと思うぜ。」

音声(メロディが楽だったからな。いい歌だと思うぜ。……これメロディーの方がいいですか?)

上条、いや上条を演じる佐藤タカオさんがスタッフに質問している。なんと収録の際のNG音声をそのまま製品版に流用しているのだ。

 

 

恋の歌が苦手な上条は、由美との出会いを機に作詞ができたという。

「1st Chance 突然の稲妻」

「オレを惑わすこの娘は ダレ?

 この手を すり抜けていく瞬間

 このままもう 会えないと思っていた」

「2nd Chance 嬉しい誤算」

「目の前で眩しく笑うのは キミ

 まさか 二度目があるなんて

 運命なんて言葉 信じてみたくなった あの日」

如何とも形容し難い歌詞である。だが、上条本人は出来に納得した様子。バンドの練習用スタジオにて由美に告白すると、すぐさま関係を持つ。

 

翌日。下の名前を呼んでほしいと望む由美に対し、上条は「樋口」と名字で呼び掛ける。上条の態度に嘆き悲しむ由美。さらに、追い打ちをかけるように、由愛会会長の十津道也が二人の交際を反対する。十津は妹を捨てた軽薄な男と上条を重ね合わせていた。余計なお世話である。

由美は上条を執拗に追いかけ回し、彼の本心を聞き出す。上条が下の名前を呼ばないのは「恥ずかしいから」であった。聞かなくとも、容易に推測できる理由である。その程度の心情を鑑みずに付き纏う由美は、想像力に欠け、迷惑極まりない。だが、上条は気に入ったらしく、二人の交際は継続する。何故か十津も上条を許す。

 

その後、上条のバンドは人気を博す。音楽には張り合えないと実感する由美。

ところが、公私混同した上条は、ライブ会場で由美を指差し、叫ぶ。

「顔を上げろ!耳を澄ませろ!オレは今、お前のためにここに居るんだ!」

「――この曲は、なによりも一番大事な、お前のために歌うんだ!」

上条が披露するのは由美のための歌。満員のライブ会場で、その特別な意味を知るのは二人だけである。血と汗を流してチケットを手に入れたファンに囲まれながら、由美は幸福と優越感を感じるのだった。

 

ライブにて観客よりも私情を優先する上条。そんな上条の行動を咎めるどころか、感激する由美。プロ意識に欠けた二人である。

 

 

BADエンドは、交際を秘密にする結末。

上条は頑なに下の名前を呼ばないが、由美は「彼が嫌がるから」と我慢し、交際も秘匿していた。友人の由香利だけが二人の関係を知っていた。

求められるままに由美は上条に体を許すが、彼は由美の心を見ようとはしなかった。セックス中も、

「そっか……この香りが、オレをそそるんだぜ。シャンプーも、伊生堂か?」

「じゃあ、伊生堂万歳だ。お前は、伊生堂でオレを惑わせる」

と、目の前の由美から目を逸らし、伊生堂製ボディーソープとシャンプーを褒め称える。上条が欲しいのは、恋人ではなく、良い匂いの肉体である。

とどめを刺すかのように、彼の携帯の着信画面には「由香利」の文字が浮かんでいた。

 

由美と由香利に二股をかける上条。GOODエンドよりは現実に即した結末だが、濡れ場における「伊生堂」連呼は珍妙である。上条の気持ちが由美自身に向いていないことを表現したいのだとしても、突拍子もない台詞回しである。

 

 

 

ゲーム『memories』攻略メモ

小野瀬ルートは、上条または浅葱ルートから分岐

 

【小野瀬敦司】

〈上条隼斗ルートから分岐する場合〉

ごめんなさい……

ダメです。出来ません。

ライブに誘ったバンドマン

上条くん

午後の授業はどうするの?

さぼる

歳はいくつ?

お仕事、大変ですか?

学食のおすすめは?

好きなお店、あります?

学園、お好きですか?

見に行く

嫌われちゃった

ひとくちサイズの焼き菓子

ゆっくり飲めるから、前

華美にして目も楽しませる

やっぱり紅茶で

お礼の言葉を述べる

GOODEND

 

〈浅葱樹ルートから分岐する場合〉

ごめんなさい……

ダメです。出来ません。

校舎前の具合の悪そうな人

デートを断る

嘉隆の電話番号を聞く

奥様はいるの?

お仕事、大変ですか?

学食のおすすめは?

好きなお店、あります?

学園、お好きですか?

聞かなかったことにする

いつまでもずっと一緒だよ

おいしそう!

花壇でも作りませんか?

悩み事、あります?

恋人

素直に聞く

GOODEND

 

 

【上条隼斗】

行ってみようかな……

ダメです。出来ません。

ライブに誘ったバンドマン

上条くん

隣、いいかな?

さぼる/さぼらない→BADEND

奥様はいるの?

お仕事、大変ですか?

学食のおすすめは?

この車、カッコイイです!

学園、お好きですか?

見に行く

嫌われちゃった/謝りに行く→BADEND

ひとくちサイズの焼き菓子

熱々で飲めるから、後

華美にして目も楽しませる

他にも用意しておいたら?

くどいので止めておく

GOODEND

ゲーム『夢をもう一度 幸福の風』感想

「いつかこれが不要になる日まで、あなたに花束を贈り続けることを誓いましょう」

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佐々木瞳は外資系の広告代理店「メディアグロー」の営業課に所属する会社員。営業課では新しいプロジェクトに向けて準備が進められていたが、大手広告会社「黒宣堂」に次々とクライアントを奪われてしまう。瞳と同僚の秋元健二は「黒宣堂」に対抗するために設立された新部署に配属されるが……。

美蕾より2006年11月9日発売。2006年発売の『夢をもう一度』と続編『夢をもう一度 幸福の風』の二作同梱版。

現代日本を舞台に、社会人の恋を描く18禁乙女ゲーム。公式ジャンル名は「恋愛アドベンチャー」。

 

主人公の佐々木瞳は28歳、外資系の広告代理店「メディアグロー」に勤める会社員。

やり手の女性営業マンとして活躍している彼女は、シングルマザーの母に恩返しをするために高校卒業と同時に入社し、庶務の雑用係から営業部へと昇り詰めた経歴の持ち主。学歴や年齢、性別から色眼鏡で見られることも少なくないが、実力と努力が認められて、現在では営業部の欠かせない人材として頼りにされていた。

一姫真矢部長(演:浜五郎)を迎えた営業部では只今新しいプロジェクトに向けて準備中。ところが、大手広告会社「黒宣堂」に次々とクライアントを奪われる事件が発生する。瞳は「黒宣堂」に対抗するために急遽設立された新部署に配属される。その部署には、瞳に熱烈なアプローチをかける同僚の中田正義(演:鳥取砂丘)や、どうしても性格が合わない秋元健二(演:森上ショウ)も所属していた。

さらに、訪ねていったクライアントで「黒宣堂」の営業課長を名乗る男、相原貴一(演:上田康裕)と出くわし、宣戦布告を受けてしまう。

 

プレイ順は、秋元健二→相原貴一。

 

 

①秋元健二(演:森上ショウ)

外資系広告代理店「メディアグロー」の会社員。営業部所属。瞳の同僚。

基本的に女性に優しいが、仕事の面では女性を軽視しており、女性が男性の上に立つことが許せない。めきめきと頭角を現してきた瞳のことも良く思っておらず、何かといえば嫌味を言う。

 

「黒宣堂」に対抗するために設立された新部署に配属された瞳と秋元。新部署の仲間は、課長(演:上田康裕)、同僚の衛藤今日子(演:本山美奈)、中田正義、白鳥餡子(演:佐々部愛華)、といった気心の知れたメンバーだった。ところが、秋元は彼らを「使えない連中」と見下し、当たり散らす。

秋元の攻撃性は「黒宣堂」にクライアントを取られた悔しさに因るものではないか。同僚の性格を熟知している瞳は、「あなたを助ける」と秋元に申し出る。

「ふざけるな!どうしてあんたなんかに俺が助けてもらわなきゃなんないんだよ!」

自尊心の高い秋元は、瞳からの幇助を拒否する。瞳の力を借りるということは、すなわち自身の能力が瞳より劣っていることを認めることになるからだ。

しかし、仕事において私情は抑え込まなければならない。秋元は渋々瞳の助力を得て、コンペの準備を始める。深夜まで残業し、一緒に営業先を回るうちに、秋元の心に変化が訪れる。

 

徐々に態度が柔和になった秋元。そんな折、瞳と秋元は営業先で「黒宣堂」の営業課長である相原貴一と出会う。相原こそが秋元のクライアントを奪った人物であった。感情的で粗野な秋元とは対照的に知性的で優美な相原は、女性の社会進出も認めており、瞳に移籍を持ち掛ける。瞳は断るものの、その後も相原は瞳に声を掛ける。

相原から瞳を連れ戻した秋元は告白する。

「お前なんか……お前のことなんか、大嫌い……だったよ」

女性で、年若く、学歴も劣る瞳に負けるのが悔しかった。だから、瞳が嫌いだった。

これまで抱いていた感情を吐露し、瞳への気持ちが好意に変わったことを告げる秋元。瞳は秋元の気持ちを受け入れる。

 

恋人になった瞳と秋元は今日も二人で営業先を回る。「黒宣堂」との戦いは、コンペを機に盛り返しつつあった。

 

 

②相原貴一(演:上田康裕)

26歳。大手広告会社「黒宣堂」の営業課長。黒髪で眉目秀麗な美青年。

 

営業先で出会って以来、幾度となく瞳に接触する相原。彼は瞳に「黒宣堂」への移籍を持ち掛ける。

相原のアプローチに折れた瞳は、ディナーの誘いを受ける。乗り気ではなかった瞳だったが、二人きりで話すうちに、知的で優秀な彼に好感を抱く。さらに、相原は薔薇の花束を用意していた。

「花を見れば、あなたは今夜のことを嫌でも思い出す」

「いつかこれが不要になる日まで、あなたに花束を贈り続けることを誓いましょう」

薔薇の花言葉は「愛情」。相原は瞳が心を開く日まで花を贈ると誓う。

他社の人間だからと距離を保つ瞳だったが、その後も相原は瞳の前に姿を現す。

「あなたがほだされるのが先か、私が諦めるのが先か、根競べです」

相原の誘惑に乗るか、相原を諦めさせるか。これは瞳と相原の遊戯である。

いつしか相原の訪問を楽しみに思い始めた瞳だった。

 

 

同僚の秋元。

競合他社の社員である相原。

仕事の上ではライバルである二人との恋の駆け引きは、甘く、スリリングである。

ゲーム『夢をもう一度 幸福の風』攻略メモ

【秋元健二】

一緒に昼食でもいかがですか?

若い男の子は興味ないわ

あまり良く思われてないのは確かね。

もう寝よう。

もう少し寝ていたい……。

考えられない。

金剛君を呼ぶ。

金剛ジョン

食堂で済ませちゃおう

うまくいかないものね。

さすが一姫部長、凄い。

早く行く

ありがとう。

黒宣堂を放っておくなんてできない

それは言いすぎよ

そんなことより仕事仕事!

誰かいい人がいればね

2面性ってあんまり好きじゃないんだけど

一度、秋元さんと話をしてみよう

ダメ人間扱いされて傷ついた?

ノーコメントで!

断る

そういう理由なら納得

……何か頭痛くなってきた

秋元さんに協力しよう

感じ悪い……

アドバイスをする

両親の事を聞かれたっけ

ごめん、今晩はちょっと……

触る。

2人ともかしら。

それはちょっと……

そんなに嫌だったんですか…

賢そうに見えるわ

秋元さんの仕事の邪魔しちゃ悪いわよ

今言ったこと、取り消して下さい※SAVE

秋元さんのことが、好き?

他の人に任せたくなかったんです

電話を切る。

秋元さんのことが好きだからだ

いります!

GOODEND

 

※SAVEから

とんでもない!あんなヤツ大嫌いよ!

他の人に任せたくなかったんです

電話を切る。

私ばっかり振り回されて……悔しい

そんなことがあるわけない!

いります!/いいです、私が淹れます→BADEND

NORMALEND

 

※SAVEから

秋元さんのことが、好き?

他の人に任せたくなかったんです

電話を切る。

私ばっかり振り回されて……悔しい

そう言われてみれば

そうね……いい考え

BADEND

 

 

【相原貴一】

いえ、ちょっと気になったもので 

若い男の子は興味ないわ 

あまり良く思われてないのは確かね 。

もう寝よう。

もう少し寝ていたい……。

考えられない。

金剛君を呼ぶ 。

金剛風太 

食堂で済ませちゃおう。

うまくいかないものね。

確かに社長に対してあの態度はちょっと……

いつもの時間に

ありがとう。

黒宣堂を放っておくなんてできない 

それは言いすぎよ 

そんなことより仕事仕事!

誰かいい人がいればね 

2面性ってあんまり好きじゃないんだけど

一度、秋元さんと話をしてみよう 

ダメ人間扱いされて傷ついた?

風太君の言う通りだと思う 

断る 

賑やかすぎるのもどうかと思うわ……

彼女が可哀想じゃない!

秋元さんに協力しよう※SAVE

感じ悪い……

アドバイスをする

社長、なんだか様子がおかしかった

ごめん、今晩はちょっと……

触る。

2人ともかしら

それはちょっと……

そんなに嫌だったんですか……

秋元さんの仕事の邪魔しちゃ悪いわよ

今言ったこと、取り消して下さい

秋元さんのことが、好き?

他の人に任せたくなかったんです

電話を切る。

もう、考えるのはやめておこう

いります!

23くらい?

変な人。/楽しかったかもしれない。

GOODEND

 

※SAVEから

かっこいいかも

アドバイスをする

社長、なんだか様子がおかしかった

ごめん、今晩はちょっと…… 

眺める。

2人ともかしら。

それはちょっと……

そんなに嫌だったんですか…

秋元さんの仕事の邪魔しちゃ悪いわよ

今言ったこと、取り消して下さい

とんでもない!あんなヤツ大嫌いよ!

他の人に任せたくなかったんです

ここで話すのはまずい。場所を変えよう。

少し、……だけなら。

飲まなきゃやってられないわ。

女だからって弱いとは限らないわ。

BADEND

ゲーム『すみれの蕾&ツンデレ★S乙女』有馬隼太ルート感想

「尊敬する若のお傍で、いつまでも人力車を引いていたいんです」

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早坂サツキはアカンサス学園三年生。手芸部に所属していたが、顧問の教師が定年退職、サツキ以外の部員も全員卒業し、手芸部は事実上の廃部になってしまった。学園の校則では全生徒の部活所属が定められているため、新しい部活を探すサツキ。偶然演劇部の部員たちと知り合い、演劇部の衣装担当として働き始めるが……。(『すみれの蕾』「学園編」)

学園編から四年後。サツキは学園を卒業後、服飾系の専門学校を経て、憧れのステラ歌劇団の衣装部に就職し、仕事に邁進している。アカンサス学園の演劇部員たちとは現在も交流が続いていた。若手演出家や歌舞伎俳優、小説家として名声を得ている演劇部仲間たち。社会人となった彼らとサツキの恋が幕を開ける。(『すみれの蕾』「歌劇編」)

美蕾より2013年4月26日発売。2009年発売の『すみれの蕾』『すみれの蕾 fan disc~ウェディング大作戦~』、2010年発売の『ツンデレ★S乙女』の三作同梱版。

『すみれの蕾』は演劇界を舞台に、ひたむきに夢を追う若者たちを描いた18禁乙女ゲーム。公式ジャンル名は「恋愛アドベンチャー(18禁)」。

 

 

『すみれの蕾』「歌劇編」に収録された有馬隼太END「夢に向かって吹く風」は、車夫の青年が夢へ踏み出す物語である。

 

学生時代は演劇部の部長を務め、現在は歌舞伎役者として華々しく活躍する東清一郎(演:プログレス)。卒業後も清一郎との交流が続いている早坂サツキ(演:君影ミヤビ)は彼と顔を合わせる機会も多かった。清一郎は常に人力車に乗って移動していたが、人力車を引くのはいつも同じ人物である。ある日、サツキはその車夫と言葉を交わすことに。

 

車夫を務める青年の名前は有馬隼太(演:大石けいぞう)。人力車の車夫はあくまで付き人の仕事の一貫で、本業は清一郎の弟弟子だった。

清一郎との出会いは中学生のとき。当時荒れていた隼太は喧嘩早かったが、清一郎に負かされてしまった。その日以来、隼太は心を入れ替えて、清一郎に弟子入りし、憧れの彼に追いつくべく役者の道を踏み出したのだという。

同じ演劇界で夢を追う仲間として、サツキは隼太を応援する。

 

夢への第一歩としてCMオーディションに挑戦した隼太。彼が出演したCMは好評を得、隼太はにわかに注目を浴びる。プロデューサーからは本格的に役者をやらないかと誘われるが、隼太は役者の仕事が増えれば清一郎の付き人をする時間が減少することに葛藤する。

「俺は本当は……、尊敬する若のお傍で、いつまでも人力車を引いていたいんです」

「若に恩を返すためなら、役者なんかどうだっていい。でも若は、それじゃ駄目だと仰るんです」

恩返しを続けるか、役者の夢を諦めるか。

悩む隼太に対し、サツキは清一郎と隼太の主従をステラ歌劇団の男役淳ヒカリとサツキ自身の関係に擬える。実は私も憧れの人がいて、今の職業を選んだ。あの人の衣装を作るのが夢で、その夢に向かって頑張っている。隼太さんが一番やりたいことは何か。サツキの言葉を機に、隼太はある結論へと至る。

 

後日。

隼太は清一郎に頭を下げる。            

「俺は、やっぱり役者をやってみたい。若に憧れてやっと見出した夢を、このまま諦めたくないんです」

「恩義も返せずに自分を優先する俺をお許し下さい。ですが、どうか、自分の夢に挑戦することをお許し下さい、お願いします!」

夢を追い求めたい。それが隼太の決断だった。

懇願する隼太に対し、清一郎は鷹揚に応じる。清一郎は隼太の夢を反対していなかったのだ。助け合いからは卒業し、今後は対等な役者仲間として頂点を目指そう。芸の道の厳しさを告げて、清一郎は隼太を後押しする。

さらに、清一郎は隼太とサツキを人力車に乗車させる。これまでは隼太が清一郎を乗せた人力車を引いていたが、今回は清一郎が隼太を乗せて走る。主従の役割交換は、固定化された役割を瓦解し、対等な関係性を築いた証左である。

隼太は人力車を引く清一郎の背中に向けて幾度も「ありがとうございます」と頭を下げた。

 

 

続編『すみれの蕾 fan disc~ウェディング大作戦~』には、アフターストーリー「君と桜の下で」を収録。

助言のお礼にケーキを購入した隼太。二人で食事をしているうちに、彼が歌劇団に興味があることを知ったサツキは観劇に誘う。勉強熱心な隼太は歌劇団に感心する。

その後も二人きりで会う隼太とサツキ。やがて、隼太の中で恋心が膨らんでいく。

お花見に訪れた日。桜が舞う中、ついに隼太はサツキに告白する。

「もっと、あなたの傍にいたいと考えています」

「……どうか、どうか、俺と、交際してもらえないでしょうか?」

隼太に好意を抱いていたサツキは告白を受け入れる。

そののち週一ペースでデートを重ねるサツキと隼太だったが、彼の役者の仕事が忙しくなると、会う機会が減ってしまう。さらに、隼太が役者として人気を博している場面を目撃し、サツキは疎外感を感じる。サツキの中では、いつまでも隼太は人力車を引いている車夫だ。だが、今の彼は多くの人に感動を与える役者である。目の前にいる隼太はひどく遠い存在だった。自分は隼太にふさわしくないと感じたサツキは彼から距離を取ろうとする。

別離を告げるサツキに対し、隼太は真摯に言葉を告げる。

「あなたなしでは、俺は俺でいられない。あなたがいて、俺は俺でいられるんです!」

「サツキさんがいない人生なんて、空の人力車と同じです」

「俺の人生を意味あるものにしてください、サツキさんのために生きたいんです」

隼太の誠意はサツキの頑迷な心を溶かすのだった。

 

 

 

 

人力車の車夫から役者へと夢の階段を駆け上がる隼太。

目標として立ち塞がる先輩の清一郎。

END「夢に向かって吹く風」では、この主従の関係性の変化が焦点となる。主人公サツキは二人の関係を一歩後ろで見守る立場となり、彼らの架け橋を担う脇役へと変じる。サツキが再び物語の主役に返り咲くのはアフターストーリー「君と桜の下で」まで待たなくてはならない。女性主人公と男性攻略対象の恋を描く乙女ゲームとしては異例の展開であるが、それこそが『すみれの蕾』隼太ルートの出色である。

 

清風のように爽やかな青年たちの友情と、二人の交歓を見つめる少女。プレイヤーが少女の視点から追体験するのは、男性たちの関係に踏み込めないもどかしさと友情に対する憧憬である。

 

ゲーム『すみれの蕾&ツンデレ★S乙女』有馬隼太ルート攻略メモ

有馬隼太ルートは歌劇編のみ

 

東清一郎のEND「あと1歩もう1歩」を攻略後、東清一郎専用ルート解放

東清一郎専用ルートのEND「裏返しの大嫌い」攻略後、有馬隼太ルート解放

 

 

【東清一郎】歌劇編

食事に行かない                                     

乗せてもらう

誰かを呼んでくる                                 

そんなのあるはずない                                   

清一郎                                     

清一郎                                     

清一郎                                     

清一郎                                     

よかったら、練習しよう   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

ストーカーは嫌だな            

清一郎   

清一郎   

トウワ   

???

清一郎   

恋人がうらやましい

清一郎   

清一郎   

清一郎   

声をかける

END「あと1歩もう1歩」

 

 

【東清一郎】歌劇編専用ルート

食事に行かない                                     

乗せてもらう 

誰かを呼んでくる                                 

そんなのあるはずない                                   

清一郎                                     

清一郎                                     

清一郎                                     

清一郎                                     

よかったら、練習しよう   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

清一郎   

ストーカーは嫌だな            

清一郎   

清一郎   

清一郎

清一郎

清一郎   

1枚欲しいな

私には縁のない話かな

隣の席に座る

音量を小さくする

嬉しいかも

もう少し話がしたい

声を掛ける

ご存知なんですね

END「裏返しの大嫌い」

 

 

【有馬隼太】歌劇編

食事に行かない   

遠慮する                

助ける   

そんなのあるはずない       

清一郎   

ユキ       

清一郎   

ハヤタ   

ユキ       

清一郎   

ユキ       

ハヤタ   

清一郎   

1つ食べる?

ハヤタ   

ユキ       

ハヤタ   

清一郎

ユキ       

ハヤタ

END「夢に向かって吹く風」

ゲーム『仁義なき乙女&恋恋三昧』灰谷仁ルート感想

「持てない荷物なら、降ろせ。それが嫌なら……」

「誰かに分けろ」

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小泉沙紀は、ごく普通の女子高生。ある日、沙紀の前に、暴力団「虎桜組」の若頭那由多龍が現れる。彼は、急死した先代組長の娘である沙紀を、次期組長として迎えに来たという。

美蕾より2012年12月14日発売。2007年発売の『仁義なき乙女』と2008年発売の続編『仁義なき乙女 恋恋三昧』の二作同梱版。

現代日本を舞台に、ヤクザの次期組長になった女子高生と裏社会の男性たちの恋を描く18禁乙女ゲーム。公式ジャンル名は「恋愛アドベンチャー」。

 

小泉沙紀(演:設楽とうこ)は、桜学園の学生。平凡な家庭で育ち、ごく普通の学園生活を送っている。

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そんな彼女の前に、ある日突然、関東一の暴力団「虎桜組」の若頭那由多龍(演:仲達)が現れた。彼は、急死した先代組長の娘である沙紀を、次期組長として迎えに来たという。

生き別れの父が極道だと知らなかった沙紀。しかし、反論する間もなく、「虎桜組」組長に祭り上げられてしまう。

かくして、女子高生と組長の二重生活が始まるが……。

 

 

共通ルート前半は、ヤクザのドタバタ生活を描いたコメディ。

「虎桜組」の組員たちは厳つい顔の男たちだが、人柄はお茶目。「お嬢」である沙紀の関心を引こうとするが空回りばかり。彼らの引き起こす騒動に巻き込まれながら、沙紀は慣れないヤクザ生活を乗り越えていく。

中盤以降は、敵対する暴力団「龍蓮会」との抗争が始まり、物語はシリアスな方向へ。

 

攻略対象は、「虎桜組」の若頭那由多龍(演:仲達)、インテリ派ヤクザ朝生義之(演:先割れスプーン)、沙紀のクラスメイト兼「虎桜組」準構成員の天音京吾(演:空野太陽)、沙紀の担任教師兼刺青師の武藤一郎(演:風間瞬)、保健医の灰谷仁(演:青島刃)、刑事の喜多川戴正(演:子太明)の計六名。

 

 

灰谷仁ルートは、保険医でありながらヤクザの治療も請け負う闇医者、灰谷先生との恋愛ストーリー。

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灰谷仁は沙紀の学校の保険医。沙紀が普通の学生だったころからの顔馴染みである。組長に就任し、ヤクザ稼業を手伝う最中、沙紀は灰谷の裏の顔を知る。医師免許を持つ灰谷は、普通の病院を受診できないヤクザたちのために治療を請け負っていたのだ。

さらに、クールで冷たい印象の灰谷が捨て犬の世話をする姿を目撃する。灰谷は人にも動物にも優しく、困っている相手を放って置けない性格だったのである。

沙紀は灰谷と協力して「チャーミー」と名付けた犬の面倒を見ることに。

 

GOODENDは三種類。

 

GOODEND「手を取り合って」

「虎桜組」と「龍蓮会」の抗争を描くエンディング。

沙紀の組長稼業を支えてくれていた「虎桜組」若頭の那由多。ところが、ある日突然、那由多は「龍蓮会」に寝返ってしまう。

「虎桜組」と「龍蓮会」の小競り合いの最中、「チャーミー」は「龍蓮会」の構成員に噛み付くが、返り討ちにされる。沙紀と灰谷は、「チャーミー」を動物病院へ連れて行く。幸い「チャーミー」の怪我は軽かった。

沙紀は高校を卒業したら看護学校に進学し、灰谷を支える看護師になると決める。

 

END「私の進む道」

抗争が起きない平和な学園生活を描くエンディング。

「今はまだ私には何もできないけど、でもいつか、先生の抱える沢山の荷物を、少しでも私が支えられるようになりたいんです」

もっと灰谷のお手伝いをしたいと決意した沙紀は、短大の看護科に進学。卒業後は灰谷と結婚し、彼の病院で働き始める。二人はヤクザ稼業から足を洗い、普通の医者と看護師として幸せに暮らすのだった。

 

END「恋人宣言」

「私の進む道」から派生。先生の秘密が判明するエンディング。

灰谷には恋人がいると思い込んだ沙紀。ある日、灰谷の後を追うと、病院に辿り着く。灰谷はお世話になった男性(故人)の婚約者だった東山時子のお見舞いをしていた。

無事灰谷の恋人となった沙紀は時子の病室を訪れる。時子の口から研修医時代の灰谷の秘話を聞くのだった。

 

 

続編『恋恋三昧』は、アフターストーリーと本編とは異なる時間軸から始まるアナザーストーリーを収録。

 

本編アフター「再びHappy Days

END「恋人宣言」のアフターストーリー。

灰谷に恋人がいるという誤解も解けて、晴れて彼の恋人になった沙紀。

住居兼診療所が入居しているビルの解体に伴い、灰谷は立ち退きすることに。沙紀も物件探しを手伝うが、ヤクザへの関与が障害となり、良い物件はなかなか見つからない。そこで、沙紀は「虎桜組」の屋敷の一角を貸すと提案するが……。

 

 

アナザーストーリー

本編の共通ルートから派生したストーリー。沙紀が誰とも恋愛関係に陥っていないifルートである。

喧嘩した那由多と朝生。組を出た朝生は、組の銀行口座を差し押さえる。「虎桜組」は困窮し、電気代すら払えない状況に追い込まれてしまう。その上、マンションから追い出され、お腹を空かして道に倒れていた武藤一郎を拾ってしまった。

このままでは生活が立ち行かない。朝生と仲直りしなければ。朝生と親しい灰谷に連絡すると、彼は過労で倒れて入院中だという。沙紀は灰谷を頼って、朝生の入院先へ向かうが……。

 

ヤクザの組員たちがアルバイトをして糊口をしのぐ清貧コメディ。

アルバイト代が支払われるまで無収入のため、手分けして食べられるものを探す場面では、部外者である灰谷も食べ物探しに参加する。相変わらず困っている人を見捨てられない性格なのだ。灰谷は山に自生している山菜を採ろうと籠を用意する。

 

GOODENDは二種類。

 

GOODEND「わかりにくいけど大好き」

灰谷の病院には、幼い子どもが入院している。灰谷はその患者の退院祝いにぬいぐるみを作るという。沙紀は灰谷と一緒に材料を買いに行く。

「いつもと格好が違うな」

「……似合ってる」

沙紀の私服を褒める灰谷。

灰谷を意識し始めた沙紀は、これまで以上に身なりを気にするようになる。

ところが、体重計で計ると体重が3キログラムも増加していた。その上、灰谷に「最近血色がよくなったな」と声を掛けられてしまい、大ショック。痩せるまで灰谷に会わないことを決意する。

事情を知らない灰谷は、沙紀が自分を避けていると思い込むが……。

 

GOODEND「先生はナース服がお好き」

灰谷の部屋でナース服を見つけた沙紀。灰谷をからかっているうちに、灰谷の本心が明らかになる。

「俺がお前を好きではおかしいか?」

 

 

 

年上の男性との恋を描く灰谷ルート。

灰谷仁はメインキャラクターではないため(劇中では「長髪はサブキャラ」というメタ発言もある)、本編のストーリーは短め。那由多の裏切りの理由や灰谷の恩人の死の理由は明かされず、あくまでメインルートから外れたサブルートに徹している。

続編『恋恋三昧』はコメディに重点を置いた内容で、ヤクザ関連のエピソードは少ないが、女子高生らしい等身大の恋が描かれる。