路傍の感想文

創作物の感想

ゲーム『ロイヤルズ~愛しの王子さま&誘惑の王子さま~』感想

「遠のく意識の中、思ったんだ。オレの中の王族の血など、流れ尽きてしまえばいいと」

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大学卒業を機に、ひとり暮らしていた日本から海外に住む父の元へ帰ることになった姫宮渚。ところが、誤って海に落ちてしまい、南海の小さな島に漂着してしまう。

有限会社イーアンツの傘下ブランドティアラモードより2012年4月27日発売。

2008年発売の『ロイヤルズ~愛しの王子さま~』と追加ディスク『ロイヤルズ~誘惑の王子さま~』の二作同梱版。

南海の小さな島を舞台に、日本人女性と王族の恋を描く18禁乙女ゲーム

 

 

主人公の姫宮渚(演:なみだ)は22歳。身長159センチ。貿易商の娘。大学を卒業したばかりだが、絶対君主制立憲君主制の差異が分からないなど、学力が不足している女性。

海外に住む父の元へ向かうため船旅をしていた渚は、誤って海に転落し、南海の孤島に流れ着いてしまう。その島はグレートブルデン王国の王子アッシュが所有するプライベートアイランド「アッシュ・キングダム」だった。次の船が来るまでの四週間、渚は「アッシュ・キングダム」内のお屋敷でメイドとして働くことになるが……。

 

 

攻略対象は、グレートブルデン王国の王子アッシュ・エドワード・アンドリュー・ルイス・マウントレスター=シルフィールド(演:魁皇楽)、ウェーデル王国の王子エリアス・マヌグス(演:悠輝タクト)、将軍家の末裔の徳丸家近(演:加藤一樹)、アウビア王国の王子サイード・ビン・ジャーシム(演:一条和矢)、アッシュの執事イアン・グリーク(演:四季透)、アッシュの妹アンナ王女(演:西野みく)の計六名。

 

 

プレイ順は、サイード・ビン・ジャーシム→アンナ。

 

 

①サイード・ビン・ジャーシム(演:一条和矢

27歳。身長180センチ。

アウビア王国の六代目アミール(国王)の息子。イスラム教徒。

母親がつけた名前は「サクル・シュルークッシャムス(暁の鷹)」。

感情表現は控え目で物静か。趣味は鷹狩り。

 

多民族国家のアウビア王国で、アミールと別の部族から嫁いできた第三夫人の間に生まれたサイードは、腹違いの三人の兄たちから疎まれていた。9歳のときには、サイード母子が乗車した車が爆破され、母を失い、一命を取り留めたサイードも背中に大怪我を負った。成人後の現在も命を狙われており、サイードは身の安全の確保のために「アッシュ・キングダム」を訪れる。

 

 

俗世から切り離された「アッシュ・キングダム」は、快楽に満ちた楽園。

母国で政争に巻き込まれ心身共に傷ついていたサイードは、渚とバカンスを楽しむ中で、生きる気力を取り戻していく。

王宮で傅かれながらも常に孤独を感じていた彼にとって、渚は初めて心を開ける相手であった。

「お前がオレに、運命を受け入れる力を与えてくれたんだ。お前を守り抜く、強い男になりたいと」

「傷ごとオレを好きだと言ってくれたお前を愛するために、生きたいと思った」

 

GOODEND「新しい国王」では、サイードが七代目アミールに即位し、アウビア王国は絶対君主制から立憲君主制に移行する。

「兄弟たちよ、私はここに約束する」

「今日からアウビアにあるのは、暴力ではなく対話。血ではなく清らかな水。硝煙の匂いではなく花の香りとなるだろう」

これまで己の中に流れる王族の血を否定していたサイードは、運命を受容し、良き為政者になるべく国家運営に力を入れるのだった。

 

 

民主制を志向するGOODENDに対し、BADEND「眠れる王の目覚め」は独裁者が誕生する結末。

アッシュ王子に抱かれた渚。

二人の関係を知ったサイードは、人が変わってしまったようになる。七代目アミールに就任したサイードは、軍を掌握し、外貨を凍結。国内の反勢力を拘留し、血の粛清を行う。グレートブルデン王国をはじめとする国際社会から激しい非難を浴びながらも、サイードは絶対的権力を行使し続ける。

図らずも傾国の美女に見立てられた渚は王宮の奥に囚われるのだった。

 

 

②アンナ(演:西野みく)

グレートブルデン王国の王女。アッシュ王子の妹。

はにかみ屋で素直な性格。

 

年下の少女と友情を育む百合ルート。

 

渚を「お姉さま」と慕うアンナ。渚はおしとやかな少女アンナと交流を深めていく。

 

渚が「アッシュ・キングダム」を離れてから数か月後。久々に日本に帰国した渚はアンナを連れて京都旅行に出掛ける。

「私は、お姉さまと一緒にいられるだけでとても嬉しいです」

「これからも、ずっと仲良くしてくださるって約束してもらえますか?」

腕を絡めた二人は姉妹のように京都観光を楽しむのだった。