路傍の感想文

創作物の感想

2020年にプレイしたゲーム

 2020年にプレイしたゲームの感想

 

乙女ゲーム

・『円環のメモ―リア』

・『白と黒のアリス』

BLゲーム】

・『Si-Nis-Kanto』

・『みらくるのーとん まるごとBOX』

・『東京24区』

・『神無ノ鳥』

 

 

 

乙女ゲーム

・『円環のメモ―リア』(A'sRing)

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女子高生の香月紗結は、幼い頃の記憶を一部失っていたが、兄の湊や幼馴染みの国方瑛太に支えられて、平穏な生活を送っていた。ある日、紗結の通う学校に人工神の香月蓮が転入する。蓮は紗結の記憶を封印した張本人だった。失った記憶を取り戻すため、紗結は蓮に協力するが……。

2016年10月28日発売。18禁乙女ゲーム

人工神が開発された近未来の日本を舞台にした作品。攻略対象は、人工神兼同級生、幼馴染み兼同級生、義兄、高校教師、神主の五名。

SFと日本神話を融合した設定は壮大だが、ストーリーはこぢんまりで物足りない。本人の意思の有無に関わらず神に祀り上げられる人工神システムの残酷性を掘り下げるシナリオが欲しいところ。

 

・『白と黒のアリス』(オトメイト

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黒の世界で女王を務める少女ルナ。ある日、黒の世界でクーデターが発生する。状況を重く見た側近・黒うさぎのレインと白うさぎのスノウは、「女王を白の世界へ避難させ、新たな女王候補を連れてくる」計画を実行する。ルナは白の世界へ連れ出され、逢山学院高校に通学することになるが……。

2017年6月8日発売。全年齢乙女ゲームPSVita)。

不思議の国のアリス』を題材に、「黒の世界」の女王・ルナと「白の世界」の女子高生・愛日梨をヒロインに据えた作品。ルナの攻略対象は三名、愛日梨の攻略対象は三名。

 

ヒロインのルナ目当てでプレイした。黒髪長髪のルナはまさに「理想の女の子」。黒を基調としたキャラクターデザインも可愛らしい。

恋愛過程で言えば、ヒロインと攻略対象が反発しながら惹かれ合うカノンルートが最も楽しめた。

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BLゲーム】

・『Si-Nis-Kanto』(Ands)

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世界中を巻き込んだ戦争が終わって間もない「冬の時代」。海に浮かんだ小さな島に孤児が集められた寄宿学校があった。マキは子どもの頃に引き取られて以来、ずっとこの島に暮らしていた。しかし、マフィアが島を訪れたことで日常は終わりを迎える。

2013年10月25日発売。18禁BLゲーム。

心臓移植をテーマにした作品。攻略対象は、マフィアと学生の三名。

マフィアのカルロとユーゴの因縁が良くも悪くも印象深く、主人公の個性が弱い。主人公を好きになれないまま終わった。

 

 

・『みらくるのーとん まるごとBOX』(Tennenouji)

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高校生の緒方明が道で拾ったのは、のーとんと名乗る謎のノート。のーとんは願いごとを1日1個、自分の体に鉛筆で書けば、翌日叶えてあげると言う。のーとんと契約した明は試しにエッチな願い事を書いてみるが……。

2016年10月7日発売。『みらくるのーとん』、FD『みらくるのーとん 只今増量中!』、タイピングゲーム『みらくるのーとん 願いを打ちこんで!』の三作同梱版。同人18禁BLゲーム。

 

不思議なノートをきっかけに恋が始まる物語。攻略対象は、実兄、幼馴染み、同級生の三名。FDではのーとんも攻略可能。

濡れ場に特化した作品で、主人公と攻略対象が好みのタイプなら楽しめるだろう。明るいコメディかと思いきや、選択肢を一つ間違えただけで悲惨な結末に辿り着くのが意表を突く。

明とのーとんのひと夏の冒険を描いたFDはノスタルジック。

 

 

・『東京24区』(HolicWorks)

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保守系政党「中道民自党」に所属する若手代議士・其扇晟尋は、そのルックスと若さで票を集め、会派の重鎮からも可愛がられていた。
8月のIAF(インターナショナルアスリートフェスティバル)東京大会開催を控えた4月半ば、渋谷スクランブル交差点で大規模な自動車爆発事故が起きる。爆発状況からテロと判断した政府は対策本部を立ち上げた。其扇もテロ事件の真相調査に動き出すが……。

2020年5月29日発売。18禁BLゲーム。

制作側の政治イデオロギーが強く反映されている作品。現政権を支持し、野党とマスメディアに対しては批判的な姿勢で貫かれている。犯人側が社会的弱者、主人公側が特権階級という構造はHolicWorks系列の乙女ゲーム『PrincessBritania~ミューズの宝剣~』にも通じる設定で、制作チームの意識が垣間見える。

制作チームの理想の政治体制は二大政党制である。劇中では、二大政党制を敷く主人公は英雄視される。主人公は保守VSリベラルという単純な対立構造に落とし込むのだが、

いまこそ日本は、二大政党制にシフトするべきなのだ。

富裕層や企業を優遇して経済成長を促す保守。

労働者や社会的弱者やマイノリティに寄り添うリベラル。

と、保守主義社会主義ネオリベラリズム共産主義の区別がついていない様子。

思想の対立軸が複雑化していく現代社会において、労働問題と公共福祉とマイノリティ問題を一口に括るのは乱暴だろう。

 

また、不自然な程長時間に渡って交番の側で停車していた車両がテロを起こした事件を機に、ネット上で警察官への苦情や批判が噴出すると、主人公はばっさり批判意見を切り捨てるのだが、この対応には疑問が残る。

IAF開催に向けて「特定道路における緊急自動車撤去法案」(交通規制時や渋滞時、違法駐車や迷惑駐車をしていた場合、持ち主への告知なく撤去できる)が成立し、テロ対策に力を注ぐ最中に起きた事件である。「長時間停車していた不審車両を見逃したのは警察の怠慢でないか」と批判が出るのは必定だろう。

「なんのための交番か。警察組織の緩みがこの悲劇をもたらした」

スクロールするごとに、悪意に満ちたコメントが次々と現れる。

主人公はネットのコメントを「悪意」の一言で片づけるが、SNS掲示板の書き込みは、死亡した警察官個人に対する誹謗中傷もあれば、警察のテロ対策の不十分さを指摘する意見もある。それらのコメントを十把一絡げに「悪意に満ちた」と断定する主人公たちこそ、ネットの書き込みはすべて悪意から発信されているという偏見の持ち主ではないか。

「たったそれっぽちの数に、我々政治家や官僚が振り回されてどうするんだ」

国民の意見を「それっぽっち」と評し、唾棄する政治家に国政を預けたいとは思えない。

 

 

・『神無ノ鳥』(すたじおみりすteamL←→R)

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生者の世界と死者の世界を繋ぐ場所にある「神無山」。この山に住む「神無ノ鳥」と呼ばれる者たちは、終焉を迎える魂を肉体から引き離し死者の世界へと連れ行く役割を担っていた。少年イカルも「神無ノ鳥」のひとり。しかし、イカルは人の魂をその手に掴むことを忌み嫌い、一度も魂を回収したことがなかった。ある日、イカルは「神無山」の奥深くにある「常闇の間」に呼び出され、「一月後の、六月一日に死亡する少年の魂を回収せよ」と命じられる。

2002年11月29日発売。18禁BLゲーム。

同ライターのBLゲーム『Laughter Land』同様に本作『神無ノ鳥』でも女性キャラクターが鍵を握っている。両作とも女性の妊娠・出産がファクターになるのだが、ホモソーシャルの社会を構築するために女性の生物学的な役割が強調される点が興味深い。

『神無ノ鳥』については後日個別感想記事を書く予定。

 

 

 

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