路傍の感想文

創作物の感想

2021年上半期にプレイしたゲーム

2021年上半期にプレイしたゲームの感想

 

【男性向けゲーム】

・『痴者の夢』

・『屠殺の園』

・『もっと!孕ませ!炎のおっぱい異世界超エロサキュバス学園!』

BLゲーム】

・『桜雪』

・『スロウ・ダメージ』

・『ディストピアの王』

・『メイド★はじめました~ご主人様のお世話いたします~』

 

 

 

【男性向けゲーム】

・『痴者の夢』(succulent)

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高村のどかは恵まれない家庭環境で育った女子学生。ある雨の日、のどかは地元でも有名な豪邸に一人で暮らしている男・一条正宗と出会う。無職の正宗は、交通事故で死亡した両親の遺産を相続し、のんびり暮らしていた。のどかは正宗と親しく会話を交わすようになる。夏休み。のどかは正宗の家に押しかけるが……。

2020年12月30日発売。18禁同人ゲーム。

今季の問題作。これまでプレイしたゲームの中ではワースト二位*1。タイトルと成人男性×未成年少女の設定からは『痴人の愛』への志向が窺えるが、少女の性質は真逆である。本作における痴れ者は無職男性・正宗だ。

成人男性×未成年は元来好きな設定なのだが、本作のように未来への展望が見えないカップルは例外である。

 

 

・『屠殺の園』(Catear)

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戦争が始まってから四半世紀。極北の地に、親しみと侮蔑を込め「屠殺の園」と呼ばれる戦士製造の練兵場がある。女装少年ツバキも戦士になるべく練兵場を訪れる。

2007年4月27日発売。18禁ゲーム

消費されるヒロインたちへの鎮魂歌。

 

本作は「男性向け18禁ゲームのヒロイン(攻略対象)」「ヒロインを産み出したゲーム制作者」「ヒロインを愛でるプレイヤー」の三つ巴の共犯関係を描く作品だが、男女を入れ替えて「乙女ゲームの攻略対象」と「攻略対象を鑑賞する乙女ゲームプレイヤー」の図式に当て嵌められるかと言えば、否である。言わずもがなBLゲームにおいても該当しない。乙女ゲームBLゲームプレイヤー(主として女性)が当該ゲームをプレイする際の視座は、男性向け18禁ゲームのプレイヤー(主として男性)とは重ならない。

乙女ゲームBLゲームの攻略対象に恋をするのは物語上に用意された登場人物の特権であり、プレイヤーに出来るのは評論家よろしく寸評を述べることだけである。

 

 

・『もっと!孕ませ!炎のおっぱい異世界超エロサキュバス学園!』(みるくふぁくとりー)

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私立夢見ヶ淵学園二年生の崎羽精炎はオカルト研究部の部長。サキュバスの召喚に励んでいたある日、異世界ユリドラシルの女学園へ転移してしまう。理事長から「廃校の危機に瀕している学園を救ってほしい」と頼まれるが、その方法は学生たちを誘惑することだった。

2021年4月30日発売。18禁ゲーム。メイン攻略対象は十名、サブ攻略対象は二十名。

2007年の『屠殺の園』で描かれたヒロインたちの戦いは、2021年に至るまで続いている。狂乱の宴で、男性キャラクターは透過され、女性キャラクターは嬌態を画面に見せつける。

 

プレイしたのは二人のキャラクター。

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『魔性眼鏡』で主演したあかしゆきさんが演じるロザリナ・ラファエロスは主人公より一つ年上の三年生。高飛車なお嬢様サキュバスである。

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一年生のサキュバス、シャルティーナ・ルイトガルド(演:花澤さくら)は内向的で愛くるしいキャラクターである。

 

 

BLゲーム】

・『桜雪』(パレット)

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近未来の東京。軍人の久世さくらは父・連翹からある荷物を護送するように命じられる。カレンデュラ小隊の隊長に着任したさくらは、副隊長の節津蘇馬や隊員の鳥生七尾らを連れて、荷物を奥多摩へ運ぶが……。

2004年12月3日発売。18禁BLゲーム。攻略対象は五名。

軍人の権力闘争を描く本作。個別ルートの周回で見えてくる人間模様と世界の秘密。絡まった糸を解いた先に待ち受けるのは大団円か悲劇か。一瞬たりとも見逃せない作品である。

 

『桜雪』最大の功労者は鳥生七尾(演:先割れスプーン)。先割れスプーンさんの生き生きとした演技によって肉付けされた鳥生は、生を渇望し、最後まで諦めない青年である。美形とは言い難い容姿だが、物語の進行と共に彼の内面と来歴が暴かれるにつれて、誰よりも美しく気高い存在に変貌する。物語の枠を乗り越えて、エンディングに介入する鳥生の荒業には拍手。

また、鳥生が発した一言によって久世芝(演:平井達矢)との関係が判明した瞬間の驚愕も言葉では言い尽くせない。二人の関係性は盲点だった。語られないからこそ想像を掻き立てられる。

 

 

・『スロウ・ダメージ』(Nitro+CHiRAL

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近未来の日本。日本の一大カジノ・リゾートとして開発された特別行政区「新神海」に暮らす青年トワは、人の心の奥底に押し込められた爆発寸前の欲望をモチーフにして油彩画を制作していた。医者タク、タクの病院の手伝いをしている青年レイたちと交流を持ちながら、トワは絵を描くが……。

2021年2月25日発売。18禁BLゲーム。攻略対象は四名。

体験版の感想に、「カットインの演出含めて、まるでソシャゲのような作りである「探索パート」「心理パート」。このシステムを楽しめるか否かが、本作の鍵だろう」と書いたが、結論から言えば困難だった。

面倒な作業である「探索パート」、選択肢の数に辟易する「心理パート」、相槌がうるさいパートボイス、気に障る目パチ、ゲーム発売直後のソシャゲ化発表、眼鏡医者、女装、店のトイレ内でのセックス、図書室内でのセックス、無職、断髪、主人公の怠惰を指摘する脇役と擁護する攻略対象の対比……本作を構成する全ての要素が合わなかった。タクルートとレイルートをクリアして力尽きた。

 

短時間で数キロメートルを移動する主人公の健脚に驚かされる「探索パート」は、主人公の性格からは想像できないフットワークの軽さに最後まで違和感が拭えなかった。毎回プレイヤーが行き先と主人公の言動を決定しなければならない点も面倒。一箇所ならともかく、毎回五、六箇所を探索し、キャラクターに遭遇したら〈NEGATIVE〉か〈POSITIVE〉の台詞を選択せねばならない。その間、自動テキスト送りが解除されて、プレイヤーはマウスクリックでのゲーム進行を強制される。この単調なクリック作業の一体何が楽しいのかさっぱり分からなかった。突然自動テキスト送りが終了し画面が動かなくなり、「探索パート」が始まったことに気付かされる度に頭を抱えた。

 

探索同様に自動テキスト送りから切り替わる「心理パート」でもクリック作業を強いられる。一回の「心理パート」における選択肢は14~18個。選択肢が多すぎるだけでも手間がかかるのに、この「心理パート」を乗り越えないと攻略対象とのエンディングを迎えられない。その上、攻略対象の「心理パート」に入るためには脇役の「心理パート」を経由しなければならないのだ。「心理パート」のクリアには、専用の「探索パート」で五、六箇所回って、複数のキャラクターと会話し、〈インスピレーション〉を獲得することが必須条件。つまり、タクENDに到達するためには脇役の眼鏡医者専用「探索パート」「心理パート」とタク専用「探索パート」「心理パート」、レイENDに到達するためには脇役のショタ専用「探索パート」「心理パート」とレイ専用「探索パート」「心理パート」を終える必要がある。

わざわざ「心理パート」で暴かなくとも、眼鏡医者の目的もショタの正体も火を見るより明らか。紙芝居型BLゲームであれば、さらりと流れるようなエピソードである。しかし、本作では脇役の挿話を見るために、探索、会話選択、〈インスピレーション〉獲得、探索、会話選択、……の作業を繰り返さなければならないのだ。

眼鏡男性とショタは興味が持てないどころか、苦手な部類のキャラクターという点もあって、見たくもないキャラの心を暴くためにマウスクリックしていく行程は、疲労感だけが蓄積されていった。

 

「探索パート」と「心理パート」で息も絶え絶えになりながら突入したタク個別ルートとレイ個別ルートは、いずれも疑問が残る展開である。

 

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ゲーム序盤、レイは「男性らしさ」「女性らしさ」という固定観念に囚われているキャラクターとして登場する。あえて「女性のように」髪を伸ばし「女性的な」柔らかな言葉遣い(所謂オネエ言葉)で振る舞い、「男性性」から回避していた。しかし、個別ルートの「心理パート」を通して己の性的指向を認めたレイは、攻め役として主人公を抱き、柔らかな言葉遣いをやめて断髪する。彼は「女性のような」自分から訣別し、「男性のような」人間への変化を選ぶのである。

このレイの一連の行動は、はたして彼は「男性らしさ」「女性らしさ」の迷路から抜け出せたのかという疑問を投げかける。自身のありのままの個性を肯定するならば、これまでの髪型と言葉遣いを改める必要はないはずである。一般的に長髪と柔らかな言葉遣いは女性の特徴だが、決して女性の専売特許ではない。男性が髪を伸ばし柔らかい言葉遣いをしても何ら違法性はなく、魅力や美点にもなりうる。とりわけ『スロウ・ダメージ』の世界では、レイの立ち居振る舞いは社会的に認められており、長髪でオネエ言葉の攻め男性として支障なく生活できる環境下に置かれている。しかし、レイはこれまでの自分をかなぐり捨て、「男性らしさ」を希求する。

彼の行動から見えるのは、「女性的」からの忌避と「男性的」への偏重である。その根底には「男性とはかくあるべき」「女性とはかくあるべき」の峻別とミソジニーが伏在している。「心理パート」で心を暴いてもなお、レイは「男性らしさ」「女性らしさ」の自縄自縛に陥っているのである。

 

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おじさん攻めとして注目していた中年男性タクは、頼りになるおじさんではなく、決断力に欠ける人間である。「心理パート」においてタクを説得する場面では、18回言葉を投げかけても(=選択肢を選んでも)心を開かず、苛立ちが募る。たった一つの選択肢で決着をつける他社ゲーの攻略対象と比較すると、タクの頑なさには閉口した。

さらに、その「心理パート」の結果、タクの社会的立場と信用は失墜する。主人公がタクを堕とさなければ、彼は失職しなかったであろう。違法行為への加担よりも職を失う方が恐怖である。無職となった46歳中年男性タクの今後を想像すると、やり切れないエンディングであった。

 

 

・『ディストピアの王』(PIL/SLASH)

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世界が巨大なAIネットワークに司られた時代。恵まれた環境で育った印我桐久は、世界がひれ伏すロックスターになるべく貧民街を目指し家出する。幼馴染みの鍬刀半左が所属するバンド「定時退社」に加入するが……。

2021年6月25日発売。18禁BLゲーム。攻略対象は四名。『オメルタ』の立石涼先生が原画を担当。

『スロウ・ダメージ』後にプレイしたため、テキストのみで進行する紙芝居と簡素な選択肢に安堵した。PIL/SLASHブランドには色々思うところはあるが、システムの快適さはBLゲーム界随一である。

 

序盤の「桐久はロックスターのメレに憧れている」「庵士は桐久の顔に見覚えがある」の情報から推理して、「庵士はメレのバンドに所属していたが、何らかの理由でメレが失踪。桐久の正体は印我博士夫妻が作り出したメレのクローン」と仮説を立てた。……プレイした諸兄はご存知であろうが、大外れである。予想を裏切られるからゲームは面白い。

 

 

・『メイド★はじめました~ご主人様のお世話いたします~』(VividColor)

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メイドのアルバイトを始めた大学生、従兄弟に好意を抱く青年、既婚者に心惹かれるメイド……豪邸を舞台に、五組のカップルの恋を描く。

2007年12月28日発売。18禁BLゲーム。

突然の自分語りで恐縮だが、私はアニメもスマートフォン向けゲームにも縁遠く、洋画を鑑賞する際は字幕版を選ぶタイプである。TV番組を見る習慣もなく、SNSもやめた。そのような嗜好故、ほとんどの声優の名前と声が一致しない。かろうじて声が分かるのは、最もアニメやBLCDに触れていた中学~高校時代に名前を覚えた声優さんくらいである。*2

購入時に声優が決め手となる場合も少なくないのだが、近年のBL界と乙女ゲーム界は名前も声も見覚えがない声優さんが増加し、手に取るのを躊躇してしまう。とりわけ移り変わりが顕著なのはBLCD界で、距離を置いていると、そのうちにまた新しい名前が登場し、ますますBLCDに疎くなる。負のループである。

 

翻って、『メイド★はじめました~ご主人様のお世話いたします~』。メインキャスト十名のうち、名前と声が一致するのは八名。最近の声優が分からないプレイヤーとしては、泣いて喜ぶキャスティングである。本作が発売されたのは2007年、中学~高校時代にTSUTAYAでレンタルしたDVDとBLCDも2000年代産が多く、八名の声はよく耳にした。中でも安芸怜須ケンさんの声は某作品を連想させる。懐かしい声と演技であった。

内容に関しては、事前にレビューを読んで期待値を下げていたため、想像より悪くはなかった。歪で甘ったるい。人間のエゴと醜悪さをデコレートしたケーキのような作品である。

 

 

*1:プレイ済ゲーム一覧にワースト一位は載せていません。

*2:当時、アニメDVDとBLCDに触れる機会と言えば、TSUTAYAのレンタルコーナーだけだった。新作レンタルは高額だったので、旧作のみを借りていた。そのため馴染み深いのは、中学~高校時代当時に放映・発売していた作品ではなく、数世代前の作品である。