ゲーム『あかね色に染まる坂』感想
アクシデントにより許婚の片桐優姫と不仲になった高校生の長瀬準一。二人に父親が出した提案は、来年までにお互いが恋愛感情を抱かなければ許婚関係を破談にするという内容であった。
有限会社ホワイトローズのブランドfengより2007年7月27日発売。
現代日本を舞台に、財界の権力闘争に巻き込まれた男子高校生の学校生活を描く18禁ゲーム。公式ジャンル名は「ドラマティックADV」。
主人公の長瀬準一はアミティーエ学園の二年生。学内では三枚目扱いを受けている普通の高校生だ。
ある日、準一は暴漢に襲われそうになっている少女を助けるためにファーストキスを奪ってしまう。
翌日、準一のクラスに転校生が現れるが、その転校生こそがキスをした少女、片桐優姫(演:風音)だった。優姫は片桐財閥のお嬢様であり、知らない間に親同士が決めた許婚の相手でもあった。
最悪の出会いのせいで犬猿の仲になった準一と優姫。準一の父はそんな二人にある提案を出す。それは来年までにお互いが恋愛感情を抱かなければ許婚関係を破談にするという内容だった。
共通ルートは学園祭開催を巡る一騒動、個別ルートは攻略対象との恋愛を認めてもらうために奮起する物語。
全編通してコメディ色が強く、男性プレイヤーを想定したジョークが飛び交う。攻略対象は「ツンデレ」「兄を慕う妹」「ぶりっ子」などの定型をなぞった記号的な女性キャラクターたちで、漏れ無く全員が準一に好意を抱いている。リアリティよりも「いかに準一が気持ちよくなれるのか」を重視したシナリオとなっている。
個別ルート後半では乗り越えるべき課題が提示されるが、そこで主人公の準一が取った行動は情に訴えることのみ。有効な手段は準一陣営に降った登場人物が齎した策であり、準一は彼らの駒よろしく動き、力任せにハッピーエンドに持ち込む。暗君も軍師を迎え入れると名君になる。狡猾な軍師を味方につけた主人公の前では、手練の財界人たちもひれ伏すしかない。それがたとえご都合主義と謗られるような結末であったとしても、プレイヤーの代弁者である準一の欲望を充足させるためには瑣末な犠牲である。
①西野冬彦(演:空乃太陽)
準一の同級生。生徒会副会長。頭脳明晰で冷静沈着。二次元文化に造詣が深く、ネオロマンスもマスターしている。*1
準一の唯一無二の親友である冬彦。
その正体は錫瀬財閥会長の隠し子で、準一の敵であった(なお実年齢は準一より年上である)。
彼の見せ場となるのは、片桐優姫ルートの一幕。
亡き会長の血を引く冬彦は、財閥の後継となる身。冬彦は錫瀬の下に帰る条件としてアミティーエ学園の吸収合併と廃校を提言。錫瀬財閥は強引な手段で廃校計画を実行に移す。
冬彦は準一に全生徒九割の署名を集めるように指示。準一らの働きで過半数以上の署名を得ると、その署名を盾に諸権利を正式に学園に委譲し、錫瀬財閥の圧力からアミティーエ学園を守り抜くことに成功する。
さらに、準一と優姫の恋愛を成就させるべく、人肌抜く。
冬彦「おっと。僕を攫うのかと思いましたよ」
準一「冬彦にはこっちを頼まないとな」
財界の大人たちに対抗する手段は、子どもならではの柔軟な思考と、学園生活で培われた確かな友情に基づいた奇策のみである。
②杉下清次郎(演:青島刃)
アミティーエ学園の教師。準一の担任。
元暴走族。関東から北日本までの暴走族と愚連隊を率いる極東連合の総長を務めていた。現在は準一の父の部下。
「椎名の腰つきが大人の女になっている」等、時折品性が疑われる発言もするが(青島刃声帯でなければこの時点でアンイストールしていた)、生徒たちの意向を汲む頼もしい教師であり、正念場においては準一を叱咤激励する良き助言者である。
椎名観月ルートでは、椎名との交際が反対されて家出した準一に
「お前たちが今ピンチなのは単純に負けて逃げてるからだ」
「俺の教え子としちゃあ、失格だな」
と、指摘。
片桐優姫ルートでは、
「片桐は俺の教え子だ。
そしてここは俺の学校だ。
連れて帰って来い、準一」
と、発破を掛ける。
年若き準一から見れば、理想の大人であり、憧憬の対象である。
ゲーム『喰蝶花』感想
アーガイル町治安維持隊の副隊長アルシュ・グレイブは、新隊長の慈十蘭が気に食わない。ある日、「廃屋と化した洋館から深夜ピアノの音色がする」と治安維持隊に調査依頼が入る。アルシュと十蘭は洋館へ向かうが……。
有限会社ビットクリエイトの傘下ブランドα-アルファ-より2006年3月31日発売。
「花族」「蝶族」の宿命と業を描く18禁BLゲーム。
主人公のアルシュ・グレイブ(演:下野紘)は、喧嘩早くがさつで不真面目だが、情に厚い若者。若くしてアーガイル町治安維持隊の副隊長を務めている。陽気で飾らない性格の隊長ヴァルガ・シュナイダー(演:成田剣)を慕って日夜仕事に励むアルシュだったが、ある日突然、シュナイダーの異動が決定してしまう。
シュナイダーの後任として新しく隊長に就任したのは、美青年の慈十蘭(演:一条和矢)。シュナイダー以外の隊長を認めたくないアルシュは、十蘭に反発。シュナイダーの復職を賭けて勝負を挑むが、 想像以上の十蘭の強さに完敗する。
どうにか十蘭を出し抜けないかと思案していたある日、「廃屋のはずの洋館から深夜ピアノの音色がする」と治安維持隊に調査依頼が入った。アルシュと十蘭らは洋館へ向かうが……。
プレイ順は、ヴァルガ・シュナイダー→慈十蘭→バルク・ファン・レイン→アイビス・ベリーロード→シド・グランス・リュージュ。
①ヴァルガ・シュナイダー(演:成田剣)
アーガイル町治安維持隊前隊長。
洋館でピアノを演奏している青年シドに捕まったアルシュと十蘭は、シュナイダーに助けられる。
シュナイダーの説明によると、シドは「蝶族」、十蘭は「花族」の人間であるという。十蘭は「花族」の中でも特殊な「毒花」であり、「毒花」と交わった「蝶族」は力を手に入れることができる。そのためシドは蝶が花に引き寄せられるように十蘭に近付いたのだ。
「蝶族」を狩る「狩人」であるシュナイダーは別の任務に当たらなければならないため、アルシュに十蘭の警護を頼む。実は、アルシュは生まれながらに「毒花」を護る「花護」の役目を担っていた(「蝶族」からは「花盗人」と呼ばれる)。「毒花」は二百年に一人の割合で生まれるが、「花護」はその「毒花」の後を追って生まれてくる。「毒花」と「花護」が信頼関係を結び、体液を摂取し合うと、力を得られるという。だから十蘭を抱けとアルシュに命じるシュナイダー。困惑するアルシュ。
好意を告げられぬまま、アルシュはシュナイダーと体を結ぶ。
「お前の為に、なるべく時間を作って帰って来るようにしてやる」
慰めの言葉を掛けるシュナイダー。しかし、シュナイダーとの約束を完遂するために十蘭を抱くと決めたアルシュは「俺の気持ちは、一生、口にしない」と誓うのだった。
十蘭の登場によって悲恋に終わるルート。
「花」と持て囃される十蘭は、このルートにおいては二人の仲を食い荒らす害虫と化し、彼らの精神に苦痛を与える。
シュナイダーとアルシュの関係が保持される点では、アルシュが十蘭に勝利し、シュナイダーが隊長に復帰するBADENDこそがハッピーエンドと形容するにふさわしく、溜飲を下げるアルシュの姿に胸がすく顛末である。
「誰も俺たちを引き裂く事なんかできねーのさ!」(略)
多少、こずるい方法を使ったとしても
俺は、俺の大切なものを守る。
これすべて、人生の鉄則なり。
ってな!
②慈十蘭(演:一条和矢)
アーガイル町治安維持隊隊長。
正体は「花族」の変種である「毒花」。
「蝶族」を惑わす色香を振り撒き、求められれば誰とでも寝る。医者のレインに迫られると医務室で行為に及び、青年シドに会うと足を開く。自制心というものを持ち合わせていない男である。
ただの色情狂であれば個人的な問題の範疇で収まる話だが、「毒花」である彼の場合は少々事情が厄介である。交尾を終えた雄の昆虫が息絶えるように、「毒花」と寝た「蝶族」の大半が心臓の鼓動を止めてしまうのだ。ご丁寧にゲーム冒頭にて十蘭と関係を持った「蝶族」の男が「毒花」との交わりに耐え切れずに死亡する様子が描かれ、軽率さの代償をまざまざと見せつける。
セックスは死に直結する。十蘭が己の体質を自覚し、悪癖を改善しない限り、死者は増加の一途を辿るだろう。
③バルク・ファン・レイン(演:岡田貴之)
アーガイル町治安維持隊の専属医。普通の人間。
民族出身。顔に民族の証である刺青を入れている。
面倒見が良く、人当たりも柔らかいレインは、性行為に躊躇いがなく、複数の男性と関係を持っている。あるルートでは医務室を訪れた十蘭を押し倒し、あるルートではアイビスとの秘密を暴露する。
個別ルートにおいては、アルシュを誘惑し、関係を結ぶ。仕事の合間の息抜きに過ぎない、戯れの交わりである。
アーガイル町治安維持隊の参謀兼事務員。普通の人間。
軍部のエリートだったが、ある事件で両目を失明し、アーガイル町治安維持隊へ左遷された。
知性的なアイビスと感情的なアルシュは水と油のような間柄。顔を合わせる度に、アイビスはアルシュに嫌味を言い、口喧嘩に発展する。
しかし、個別ルートに入ると、アイビスの隠された本心が明らかになる。
エンディングは二種類。
アルシュ×アイビスEND1
事件で右目を失明し、その際の衝撃により左目の視力も失ったアイビス。エリートコースを踏み外し、闇に呑まれそうになった彼の心を救ったのは、アルシュの底抜けの明るさだった。
想いを自覚したアイビスとアルシュは結ばれる。
恋人になってからしばらく後。アイビスの左目の視機能が驚異的な回復を遂げる。
「貴方が私を愛してくれた。だから、心が軽くなり、生きる希望が湧いて来たのでしょう」
悪意によって光を喪失したアイビスは、アルシュという善性の光に出会ったことで、その眼を再び開いたのだった。
アルシュ×アイビスEND2
アイビスが淹れたお茶に口を付けたアルシュ。そのお茶には催淫性の薬が混入されていた。そうとは知らずに飲んでしまったアルシュは導かれるようにアイビスを抱いてしまう。
全てが終わった後、夜の余韻に浸りながらアイビスは独白する。
「私は、この目が闇に愛される前から、闇の中で生きていました」
「私はずっとその中で育って……でもある日、貴方という光に出会いました……」
「アルシュ……もう、貴方なしでは足元が見えない……」
汚辱に塗れた過去とアルシュへの恋心。
内情を知ったアルシュは、アイビスを見放せなくなる。
愛せないが、突き放すこともできない。
アイビスに誘われたら、また彼の部屋へ赴くだろう。逃れられない未来への予感に震えるアルシュであった。
「蝶族」の青年。温厚な性格だが、「毒花」である十蘭を一目見てから、自我を失い凶悪化する。
十蘭との出会いを機に、「蝶族」の本能が抑えられなくなる可哀想な人物。
彼の人生を良き方向へ導くには、何よりも十蘭と顔を合わさせないことが肝要である。それ故、館侵入パートでは、十蘭より先にシドの居る場所に辿り着かなければならない。一歩先にアルシュがシドの元に到着すると、彼の意外な境遇が判明する。
幼少期からピアノを学んでいたシド。
しかし、音楽の世界で食い扶持を稼ぐのは難しく、シドは母の形見のピアノを担いで(文字通り肩に乗せて運ぶのだ)、町から町へ転々と渡り歩いていた。偶然、廃屋と化した洋館を発見し、「誰にも迷惑をかけないだろう」とピアノを置いて演奏していたところ、近隣住民に通報されてしまったという訳だ。
困り果てているシドを見かねたアルシュは、ピアノ奏者を探しているバーと、ピアノを弾いても支障がないアパートを紹介する。
まもなくアルシュはシドが勤務するバーの常連客になった。
洒落た扉を開けるとシドが待っている。
アルシュ「よぉ、来たぜ」
シド「いらっしゃい、アルシュさん」
上等じゃないけどうまい酒とシドのピアノを聴きながら俺の一日は終わる。
幸せな日常。
いつまでもこんな日が続けばいい。
穏やかな日々はいつまでも続く。
「花族」「蝶族」の軛から解放された二人の心温まる結末である。
ゲーム『喰蝶花』攻略メモ
「本気でいくぜ…!」/「卑怯な手でいくぜ……!」→END
「医務室に行かない」/「医務室に行く」→バルク・ファン・レイン×慈十蘭END
『十蘭について行く』
『じっとしてる』※SAVE1
左行くか
真っ直ぐにしよう
左もあやしい※SAVE2
隊長室へ行く※SAVE3
やめる/やめない→アルシュ・グレイブ×慈十蘭BADEND
連絡を入れる
他の入り口を探す。/それ以上触るな!扉を蹴破る! →アルシュ・グレイブ×慈十蘭END
左な気がする!/右だ!→シド・グランス・リュージュ×慈十蘭END
ここに残る/隊長を追いかける→ヴァルガ・シュナイダー×アルシュ・グレイブEND
↓
アルシュ・グレイブ×慈十蘭GOODEND
※SAVE1から
左行くか
右っぽいな
左だろ
↓
シド・グランス・リュージュピアノ持ち帰りEND
※SAVE1から
左行くか
真っ直ぐにしよう
右があやしい
↓
シド・グランス・リュージュ就職END
※SAVE1から
右にしよう
右に行く
まだまだ右だ
↓
BADEND
※SAVE2から
レインの後を追う
↓
バルク・ファン・レイン×アイビス・ベリーロードEND
※SAVE3から
やめる
連絡を入れない
レインを抱いてみる/レインに抱かれてみる→バルク・ファン・レイン×アルシュ・グレイブEND
↓
アルシュ・グレイブ×バルク・ファン・レインEND
「本気でいくぜ…!」
「医務室に行かない」
『後で行くと返事する』
ああ、貰おうかな/話の続きをしようぜ→アルシュ・グレイブ×アイビス・ベリーロードEND1
↓
アルシュ・グレイブ×アイビス・ベリーロードEND2
「本気でいくぜ…!」
「医務室に行かない」
『十蘭について行く』
『突き飛ばす』
右にしよう
真っ直ぐ進む
ミトコンドリアの「み」で右へ
隊長室へ行く
やめる
連絡を入れる
他の入り口を探す。
左な気がする!
ここに残る
↓
シド・グランス・リュージュ×アルシュ・グレイブEND
ゲーム『復讐帝國』攻略メモ
ギュンター・フォン・ヴァイセンブルク、ラファエル・フォン・フォルトナー・フォイエルバッハは初回から攻略可能
ハーレムENDは2人攻略後ルート解放
【ギュンター・フォン・ヴァイセンブルク】
ヴァイセンブルク邸
「もとは同胞、戦う以外の未来を探してみようとして」
「共和国のほうが色々とスムーズです」
「振動玩具を取る」
「むしろ、その事実を使って将官たちを思い通りに動かす」
「返す」
「あえて腰を押し出す」
「自棄にならず、家族を第一に守るべき」
「持ち掛けない」
「任務を果たす」
↓
ギュンター個別END
【ラファエル・フォン・フォルトナー・フォイエルバッハ】
追い掛けない
「是非、お言葉に甘えさせてください」
目的ですか?
孤独な復讐のため
「再度、ラファエルに手を伸ばす」
「上層部を一掃するよい機会では」
「気配が離れるのを待つ」
「名前くらいしか知らず接点がない、としらを切る」
「話す」
「潤滑油を受け取らない」
↓
ラファエル個別END
【ハーレムEND】
ヴァイセンブルク邸
「もとは同胞、戦う以外の未来を探してみようとして」
「共和国のほうが色々とスムーズです」
「振動玩具を取る」
「むしろ、その事実を使って将官たちを思い通りに動かす」
「返す」
「いったん腰を退く」/「あえて腰を押し出す」(どちらでもOK)
「今度は手遅れになる前に動こう」
「持ち掛ける」
「逆襲する」
「低周波出力メモリを上げる」/「低周波出力メモリを下げる」(どちらでもOK)
追い掛ける
「そこまでお世話になるわけにはいきません」
「非番の日は何をしているのか尋ねる」
「レースの下着を脱がせる」/「レースの下着を脱がせない」(どちらでもOK)
「写真の女性は誰かと尋ねる」
「……私に協力してくれるか?」
肉/果物(どちらでもOK)
目的ですか?
孤独な復讐のため
「今度はラファエルの軍服に手を伸ばす」/「再度、ラファエルに手を伸ばす」(どちらでもOK)
「上層部を一掃するよい機会では」
「気配が離れるのを待つ」
「名前くらいしか知らず接点がない、としらを切る」
「話す必要はない」
「潤滑油を受け取る」/「潤滑油を受け取らない」(どちらでもOK)
↓
ハーレムEND
BLゲーム簡易感想 3
記憶の整理も兼ねて触れてきたゲームをプレイ順に振り返ってみました。
個人的な思い出が主、ネタバレやネガティブな事項も書いておりますので、ご注意ください。
No.31『東京24区』(HolicWorks)2020年
代議士たちがテロ事件を調査するミステリゲーム。主人公総受け。
制作側の政治イデオロギーが色濃く反映されている作品。発売日前後には、原画家が自民党員を支持し、マスコミを批判するツイートをされていました。
作品を貫くのは、資本家階級が正義、労働者階級は悪という二項対立。
主人公と攻略対象は資本家。一方、テロ事件の主犯は労働運動を経て政界に出た人物、実行犯は無国籍のキャバクラ嬢です。
車がテロ事件に巻き込まれると、労働者階級である雇われ運転手は死亡し、同乗していた資本家の攻略対象とその父親は生き残ります。生死を左右するのは、社会的地位と社会的資源の有無でした。
No.32『篠田新宿探偵事務所 唐獅子牡丹』(HolicWorksDISC)2018年
覚醒剤の流通ルートを探るミステリゲーム。主人公総受け。
事件の真相より、毎回テキストの末尾に現れるピタパンの存在が気になって仕方がありませんでした。フルコンプリートしてもピタパンの謎は解けません。
No.33『PigeonBlood』(PIL/SLASH)2014年
鬼神を祀る旧家で起きた怪事件を巡るホラーサスペンスゲーム。主人公総受け。
共通ルートは道徳心が缺乏した大学生たちに翻弄される心理サスペンス。個別ルートは血飛沫が散る惨劇の様相を呈します。
橘裕也(演:髭内悪太)ルートのみプレイしましたが、暴力的な裕也に対して安易に反省を促さず、陳腐な展開に逃げなかった点は評価できます。
No.34『神無ノ鳥』(すたじおみりす team L←→R)2002年
『Laughter Land』(郎猫儿、2006年)を手掛けたライターがシナリオを執筆したファンタジーゲーム。
男性×男性の恋愛物語の背景に隠されているのは、性暴力を受けて、父親が分からない子どもを出産した障碍者の女性の悲劇。女性の妊娠と出産がBLを促す因子として機能しており、『Laughter Land』と同じく、女性の生物学的役割の強化が行われています。
No.35『東京陰陽師~天現寺橋怜の場合~』(TYRANT)2014年
2014年の東京で、陰陽師の主人公が依頼を解決していくゲーム。主人公総受け。
舞台は『紅色天井艶妖綺譚』(LoveDelivery、2008年)の数百年後。桜螺の縁者である桜井刑事(演:丈隆志)が登場し、九鬼鏡丞の縁者の名前も挙げられます。
No.36『スロウ・ダメージ』(Nitro+CHiRAL)2021年
数々のゲームを起動させてきた我がwindows7が唯一敗北を喫したソフト。インストールには成功したものの、画面を立ち上げることができないのです。もうひとつのPCであるwindows10は光学ドライブが内蔵されていないのでそもそもソフトを読み込めませんし、このままプレイできずに売却か……と、腹を括ったのですが、救済策が用意されていました。結果的に初めてwindows10でプレイしたゲームとなりました。
世間では高評価を得ていますが、オネエ系男性がオネエを辞めるエンディングも中年男性が無職になるエンディングも称賛し難く、目パチとマップ移動も肌に合いませんでした。
真相ルートは見ていませんが、おそらく主人公は母と妹の死に関与しているのだろうと目星をつけています。
No.37『桜雪』(パペット)2004年
青島刃目当てに軽い気持ちでDL版を購入したのですが、2021年一番のヒット作に。
風水と科学技術が交差する近未来の東京を舞台に、軍人の権力闘争を描く作品。主人公も攻略対象も傍若無人で度し難いキャラクターですが、周回プレイを通して、現在に至る来歴とその心情が玉葱の皮を剥くように明かされていきます。物語の同伴者となるのは、先割れスプーンさんと平井達矢さんの熱演。先割れスプーンさん演じる鳥生七尾の再起と平井さん演じる久世芝の悪業が物語を駆動させる歯車となり、カタルシス溢れるエンディングへ導きます。
No.38『ディストピアの王』(PIL/SLASH)2021年
『Paradise』(PIL/SLASH、2017年)のライターがシナリオを、『オメルタ』(花梨シャノアールオメガ、2011年)の原画家が原画を手掛けた近未来バンドゲーム。主人公総受け。
「楽園」である無人島を訪れて、異なる価値観と出会う『Paradise』 が異郷訪問譚であるとするならば、『ディストピアの王』は楽園喪失の物語。華やかな芸能界には影が潜み、自由の象徴であるZ地区は貧困と犯罪が蔓延るスラム街であり、生まれ育った場所は偽りの楽園でした。
現実を認識した主人公は混沌の中に投じられますが、自己のリアリティの獲得によって、世界と自身との関係性を再構築します。
No.39『メイド★はじめました~ご主人様のお世話いたします~』(VividColor)2007年
労働者の権利を踏み躙る雇用者たちの物語。なかでも自ら進んで幼馴染みを縛る枷となる東久世珊瑚(演:空野太陽)の悪辣さについては一考に値します。己の夢の実現のために、幼馴染みの使用人を無給労働へと追い込む珊瑚の策略は、BLゲーム界でも類を見ない醜行でした。
お目当ては黒瀬鷹×平井達矢の共演。黒瀬さん演じる苅野健太郎と平井さん演じる津田圭一の個別ルートには頬が緩みました。
No.40『Artificial Mermaid~SILVER CHAOS 2~』(VividColor)2004年
近未来を舞台に、特殊部隊の隊員たちの戦いを描くSFゲーム。
各ルート通して描かれるのは、聖教を名乗る団体が、邪教と称される異教徒を排斥する過程。劇中の教義を見る限り、聖教と邪教の線引きは曖昧で、その違いは「信徒が国家中枢を担う立場にあるのか否か」でしかありません。
No.41『玉響』(Palmiers)2006年
蛇神信仰が残る山村を舞台に、因習に縛られる男性たちの葛藤を描く作品。
本作の興味深いところは、主人公が✕✕✕✕✕✕(ネタバレのため伏せ字)であるのにもかかわらず地味な容姿である点。創作物における✕✕✕✕✕✕と言えば、美形か醜悪かに二極化しているものですが、本作の主人公はそのどちらにも振り切っていない、いたって普通の容貌です。新鮮なキャラクター設定であり、プレイヤーを欺く巧妙なトリックとも言えるでしょう。
主人公が誰の手を取るのかによって友人の古川俊一(演:羽多野渉)の相手が確定するシナリオは、ともすれば余り者同士がくっついたように見えますが、その切なさこそが本作の要。主人公に選ばれなかった者は、脇役の身分に甘んじねばならない。取り残された者たちによる傷の舐め合いが痛々しい。お気に入りは久瀬明仁(演:成田剣)×古川俊一、神代遼(演:平井達矢)×古川俊一の組み合わせです。
No.42『熱砂ノ楽園』(VividColor)2010年
VividColorの遺作。
俗世とは切り離されたハレムの奥で緩やかな自殺を図る兄アシュラフ・ルシュディ(演:高嶺悠賀)。兄の秘密を知らずに、自由に階級差を飛び越える弟ハキム・ルシュディ(演:桜ひろし)。兄弟のすれ違いが遣る瀬無い。
置かれた立場は異なりますが、アシュラフの在り方には『斜陽』の直治を思い出さずにはいられませんでした。
No.43『君の中のパラディアーム』(Chat Errant)2009年
『桜雪』同様に、青島刃目当てに軽い気持ちで購入しましたが、こちらも忘れ難い一作になりました。
崩壊が進む世界を舞台に、為政者たる神に反旗を翻す作品。ヴァンヴェール(演:杉崎和哉)とゼフィール(演:先割れスプーン)の双子の会話がユーモアに満ちていて、プレイ中は双子が結ばれるエンディングを探していました。
No.44『学園ヘヴン BOY’S LOVE SCRAMBLE!』(Spray、プロトタイプ)2015年
BLゲーム界の古典『学園ヘヴン』(2002年)のPSVita移植版。原作ゲームもアニメ版も未視聴ですが、BLゲームの歴史を学ぶためにプレイしました。
キャストは、福山潤さん、故川上とも子さん、櫻井孝宏さん、森川智之さん、鈴村健一さん、置鮎龍太郎さん、と懐かしい方々。プレイ中は時間が中学生時代に巻き戻されたかのような感覚に陥りました。
No.45『PSYCHIC ECLIPSE-サイキックイクリプス-』(C-Garden NEXT-B)2021年
近未来を舞台にした全年齢SFゲーム。攻略対象は三名。
一ルートにつき選択肢が発生する要所は三回、各選択肢において提示される回答は三つ。つまり、3×3×3、二十七通りの可能性が考えられるわけですが、そのうちハッピーエンドであるTrueEndに到達できるのは一通りのみ。残りの二十五通りはNormalEndとなります(一通りはバッドエンドであるDarkEnd)。初回の選択肢で誤答を選ぶと、その時点でNormalEnd行きが確定するシビアなシステムとなっています。
正答も誤答も似たりよったりの内容のため、正解の選択肢が見分け難く、二十七通りの分岐の中から一通りを見つける作業は骨が折れました。
No.46『Ariard-少年アリス-』(Latte)2013年
ルイス・キャロル(Lewis Carroll)の小説『不思議の国のアリス』(Alice's Adventures in Wonderland)を題材にした18禁同人BLゲーム。主人公総受け。脚本を担当した上月壱は、後に同じくアリスものである乙女ゲーム『白と黒のアリス』(オトメイト、2017年)のシナリオも手掛けました。
本作の主人公は、地下世界に落ちた少年アリス。白ウサギ(White Rabbit)、帽子屋(Hatter)、チェシャ猫(Cheshire Cat)、芋虫(Caterpillar)、ハートのジャック(Knave of Hearts)などお馴染みの登場人物がメインに据えられています。
No.47『GALTIA』(GRISEDGE)2015年
四つの王国が並立する世界を舞台に、フリーランスの何でも屋の主人公が陰謀に巻き込まれるファンタジーゲーム。主人公総受け。
攻略対象五名中四名が王位に就いており、個別ルートではロイヤルパワーに寄託する物語が展開される一方、主人公自身も「外つ国から来訪した稀なる人」とされており、真相ルートでは貴種流離譚へ回帰します。
ボキャブラリーが少ない点(「俺に触るな!」と言いがち)や行為後に発熱しがちな点など、同系統の主人公たちと比較すると短所が目に余る主人公でした。
No.48『復讐帝國』(Fetish)2017年
帝國宇宙軍の中尉が敵国の軍人たちを調教するSFゲーム。主人公総攻めですが、主人公が受け側に回るBADエンドも存在します。
キーワードは「肉体で籠絡」。そうは言いつつ頭脳戦になるのだろうとプレイ前は高を括っていたのですが、徹頭徹尾、肉体によるコミュニケーションのみで相手との関係を進め、勝敗を決します。心によって体を動かすのではなく、体が心を支配する。精神と肉体の逆転現象が起きた男たちの肖像をシリアスに活写します。
No.49『喰蝶花』(α-アルファ-)2006年
「花族」「蝶族」の業を描くダークファンタジーゲーム。
サンプル画像の鋭利な顎を見た瞬間、嫌な予感がしたのですが、成田剣出演の文言には抗えずDL版を購入。結論から言えば、成田剣さん演じるシュナイダーと高城元気さん演じるアイビス・ベリーロードのエンディングには感心する部分もあり、プレイして損はない作品でした。
「花族」「蝶族」周縁の設定は装飾過多のきらいがあり、賛否が分かれる点でしょう。
No.50『比翼は愛薊の彼方へ~未了の因~』『比翼は愛薊の彼方へ~久遠の想~』(SandalDash)2006年~2007年
春秋戦国時代を舞台に、父王殺しの罪で国を追われた第一皇子の奮起を描く架空中華戦記。全二部作。
序盤にて、夢想的な第一皇子を退け、現実を見据えた第二皇子を王に迎えるべきだと確信。必然的に、主役である第一皇子陣営よりも、略奪者である第二皇子陣営に肩入れしました。
第二皇子陣営の負け戦が続く二作目は、幾度となくアンインストールしたい衝動に駆られました。
結末には絶句。
BLゲーム簡易感想 2
記憶の整理も兼ねて触れてきたゲームをプレイ順に振り返ってみました。
個人的な思い出が主、ネタバレやネガティブな事項も書いておりますので、ご注意ください。
No.11『紅色天井艶妖綺譚』新装版(LoveDelivery)2011年
2008年に発売された同名ゲームの新装版。江戸時代を舞台に、半妖の藍丸(演:上河創)が妖刀事件の謎を解くミステリゲーム。主人公総受け。
主人公の藍丸は鯔背な若者。朗らかな気性の彼は人脈も広く、周囲はいつも騒がしい。攻略対象の桜螺(演:丈隆志)とのやり取りは漫才のように諧謔に満ちています。
そんな明るい作風の本作に染みを落とすのは、「友人の死を契機に、攻略対象と肉体関係になる」展開。一人の男の死は主人公と攻略対象の恋を動機づけるための装置となり、藍丸の表情は翳りを帯びます。賑やかな共通ルートとの落差に目が眩みます。
No.12『絶対服従命令』(郎猫儿)2005年
終戦後のドイツを舞台に、二名の軍人がターゲットを堕としていくW主人公制ゲーム。主人公総攻め。ただしBADでは受けに回ります。
攻略対象は十二名と大所帯ですが、攻略できる順番が定められており、自由性が乏しいのが特徴。怪盗のシルヴィオ・ヴェンゼル(演:酒井勇)と医師のハーゲン・ハーラー(演:黒澤優)のルートが好きでした。
No.13『学園Prince~学園征服宣言~』(Boy’s Software)2004年
東に『PLEASURE☆』があれば、西に『学園Prince』あり。『PLEASURE☆』(愛称「裸バスケ」)に肩を並べる実力を持ちながら、遥かに知名度が劣る迷作。
「理事長の悪事を暴くために学園に侵入した主人公が、同じ志を持つ仲間と出会い、理事長を倒す」という粗筋を肉付けするのは怒涛の下ネタ。登場人物は攻略対象からモブキャラクターまで漏れ無く規範意識が欠如し、台詞も行動も奇想天外です。登場人物たちが「異常」なのか、彼らをおかしいと感じる私が「異常」なのか。「正気」と「狂気」の境目が溶けていくシナリオに頭が痛くなってきます。
すでにブランド解散、公式サイトも消滅しているため、どのような意図で制作されたのか皆目見当がつかないのですが、尋常ならざるセンスを持ったスタッフがいたのであろうことは想像に難くありません。
主演は鉄仮面さん。攻略対象を演じるのは野蔀由輝さん、緑川光さん、三木眞一郎さん、伊藤健太郎さん、松野太紀さん、万栗太郎さん、松濤エルサさん、脇を固めるのは黒田崇矢さん、間寺司さん、吉野裕行さん、山口勝平さん、と豪華キャスト。ちなみに、黒田さんは受け役を担当されています。
No.14『Paradise』(PIL/SLASH)2017年
クローズド・サークルを舞台にしたサスペンスゲーム。
気楽な気持ちで参加した無人島六日間のキャンプは、外界との連絡手段が失われた瞬間、地獄のサバイバルと化す。食糧不足が懸念される中、参加者からはついに犠牲者が。恐怖に怯える者、焦燥に駆られる者、リーダーシップを発揮する者……。極限状態だからこそ炙り出る人間の本性。問われるのは尊厳と正義。
主人公たちが訪れた無人島は、煩わしい俗世間から隔絶され、草木が繁茂する「Paradise」。
同時に、「彼」の目を通すと、其処は弟アベルを殺害した兄カインが流れ着いたノドの地でもありました。
No.15『ラッキードッグ1』(Tennenouji)2009年
禁酒法時代のアメリカを舞台に、マフィア組織「CR:5」の幹部たちの脱獄と抗争を描く18禁同人BLゲーム。主人公総受け。
イヴァン・フィオーレ(演:平井達矢)とルキーノ・グレゴレッティ(演:四季路)ルートのみプレイしました。予備知識なく始めたのですが、ルキーノがまさかの妻子を失った男性攻略対象で、おじさん攻め好きとしては望外の喜びでした。
『オメルタ』と同じくマフィアものということで、比較する点も多く、そういった面では参考になりました。
No.16『贄の町』(√ZOMBILiCA)2018年
彼岸と此岸の間で生きる意味を見つける物語。主人公総受け。共通ルートはマップ式、個別ルートは通常の紙芝居となります。
本作の攻略対象の一人(ネタバレのため名前は挙げません)は、BLゲーム界の中で最も悲惨な生い立ちのキャラクターと言えるでしょう。性暴力の被害者は数多入れども、彼ほどの後遺症を負った人物はいないのではないでしょうか。
No.17『鬼畜眼鏡』(Spray)2007年
BLゲーム界の古典にして、乙女ゲーム『魔性眼鏡』(PIL-VAMP、2016年)の元ネタ。『魔性眼鏡』への波及を確認するためにプレイしました。
後年のBLゲームに影響を与えた本作。なかでも『神様(仮)路地裏繚乱編』(easy-peasy、2013年)の天満倖春(演:桜ひろし)は、『鬼畜眼鏡』の五十嵐太一(演:大石けいぞう)のオマージュと断言できるでしょう。単純な模倣に留まらず、独自の設定を加えて差別化が図られていますが、『神様(仮)路地裏繚乱編』好きとしては嬉しい発見でした。
No.18『ラブミーテンダー~今宵、Barアルバで~』(VividColor)2008年
38歳のピアニストが47歳の今カレと44歳の元カレの間で揺れるロマンスゲーム。
「歳を重ねた男たちの恋」の惹句に釣られて購入したのですが、大人と呼ぶにはあまりにも主人公の橘幸彦(演:中原茂)が未熟でした。人の心の機微に疎く、都合の悪い状況になるとその場から逃亡する、鈍感で無責任な大人です。攻略対象も「ビジネスを有利に進めるために女性と政略結婚をしたが、本当に愛しているのは男性の方だ」と人間性を疑うような発言をする人物で、全く以て共感も応援もできないカップルでした。
No.19『花町物語』(VividColor)2005年
遊郭シリーズ第一弾。陰間茶屋を舞台に、新人陰間の朱璃(演:緑川光)と周囲を取り巻く男性たちの恋を描く。主人公総受け、一部ルートに同軸リバあり。
良くも悪くもショタ主人公の声の癖が強く、このボイスを受け入れられるか否かが評価の鍵。個人的には苦手なタイプだったのですが、攻略対象の梶山啓治(演:富士爆発)の低音ボイスとは釣り合いが取れていました。梶山の筋肉美にも惚れ惚れ。
ダークホースは、成田剣演じる各務征士郎。欺瞞と虚飾が剥がれ落ちた先に広がるのは空虚な部屋でした。
No.20『花陰~堕ちた蜜華~』(VividColor)2009年
遊郭シリーズ第二弾。『花町物語』の数年後が舞台。朱璃の後輩にあたる陰間、伊織(演:大石けいぞう)が主人公。主人公総受け。
小泉八雲を模した攻略対象、ヒュー・グレン(演:平井達矢)の言動が可笑しみを誘います。
全ルート通して最も印象深い場面は、共通ルートのヒューと獅子尾豪(演:犬野忠輔)の散策シーン。お雇い外国人とヤクザの凸凹コンビのやり取りが楽しい。
ヒュー×豪の組み合わせがあれば……とがっかりしていたら、ドラマCD『陽炎』にて主人公が「ヒューと豪が付き合っているかも」と勘違いするエピソードが描かれていました。是非実現してほしいものです。
No.21『MESSIAH』(CORE-DUSK)2006年
孤独な吸血鬼が救世主(メサイア)を求める物語。
吸血鬼役の黒瀬鷹さんは後年『オメガヴァンパイア』(花梨シャノアールオメガ、2016年)でも吸血鬼を演じられました。この二人の吸血鬼は、性格は真逆ですが、行動は似ています。通底しているのは深い哀しみ。絶望を切り拓く血路となったのは、他者への情愛の念でした。
No.22『FANATICA〜ファナティカ〜』(CORE)2004年
豪華客船を舞台に、現代からタイムスリップした医師、記憶喪失の少年、華僑の青年らが繰り広げる、片思いの連鎖。
「リーウェン様、この霜波の言葉を一つだけ……このことだけ覚えておいて下さい。生きてゆくと云うことは……何かを選ぶことです」
報われぬ恋情を描く本作を代表する名台詞です。
「ずっと貴方の側に」エンドの霜波(演:ヘルシー太郎)の告白は鳥肌が立ちました。
ただし、システムは複雑かつ面倒。通常の選択肢は存在せず、ジャッジポイントにて蝶または蜘蛛のアイコンをクリックすることでルートが分岐するのですが、テキストに集中していると、度々アイコンを見逃します。何度か挑戦しているのですが、あるルートが解放できません。そのためフルコンプリートも不可能となっています。
No.23『Laughter Land』(郎猫儿)2006年
異界に召喚された主人公が、世界の秘密に迫るミステリゲーム。一部ルートにて同軸リバあり。
攻略対象は用意されていますが、恋を選ぶと真実への扉は閉ざされます。恋愛にまつわる選択肢を回避し、謎解きに注力すると、真相ルートが解放されます。
キーパーソンとなるのは女性キャラクター。終盤における、妊娠と出産を繰り返す彼女の暴走は、カタストロフィというよりも悪趣味の域です。
世界の崩壊後、男性キャラクターたちに救済が与えられますが、彼女は姿を見せません。シナリオを進行させるための駒の役目を課せられながらも、物語が終焉を迎えると用済みとばかりに捨てられて、再生する機会は与えられないのです。この女性キャラクターの処置の問題は、本作のライターがシナリオを担当した『神無ノ鳥』(すたじおみりす team L←→R、2002年)でも共通しています。
No.24『スクエアな関係~ぼくらの恋愛心理学3~』(アイン)2007年
日常の中で恋が生まれる作品。別軸リバあり。
蒼井悟(演:平井達矢)×小早川龍司(演:青島刃)ルートについては長々書いたので、今回は西田勇人(演:皇帝)×岸本高水(演:空乃太陽)ルートについて。
私は暴力を振るう加害者(=攻め)キャラクターが好きなのですが、その人物の本質は暴行後の態度に現れます。情欲の嵐が吹き荒れた後に一抹の後悔を見せる男は、僅かに良心が残存しており、話し合いの余地があります。GOODエンドルートへの方向転換も可能です。また、自身の行動を「悪」であると認識しつつ目的遂行のために暴力を振るう男は信念に殉じる剛直な者ですので、事件解決後は受けに優しくなります。他人をいたぶることを好む嗜虐趣味の男は厄介ですが、往々にして頭脳は優れているので、意思の疎通が取れます。一方、自己の記憶に蓋をし、事態をなかったことにする男*1は、手に負えません。適切な治療が必要です。
西田×岸本ルートの西田は、自己嫌悪に陥るタイプ。悔やんでも悔やみきれずに涙を流します。怒りの矛先を向けるべき相手は自分自身。自分から逃げることはできません。その苦痛と悲嘆が西田の精神を蝕みます。
尺は短いものの、加害者の心情に寄り添ったシナリオは読み応えがありました。
No.25『臨海合宿』(β-pink)2007年
『修業旅行~古都迷走地図~』の主人公の従兄弟、真田直登(演:伊東隼人)を主役に据え、ひと夏の冒険を描くミステリゲーム。別軸リバあり。『修業旅行~古都迷走地図~』と同じく、ルートによって真相が変化します。
真柴薫(演:川梛珱)ルートでは、あのキャラクターの参戦に驚かされました。優れた人格者は巷間に潜むのかもしれません。
No.26『神学校-Noli me tangere-』(PIL/SLASH)2011年
一家惨殺事件を背景に、神の姿を見失った少年が再び信仰を取り戻すまでの過程を描くミステリゲーム。別軸リバあり。
人間本性の脆弱性と不純正を突きつけるシナリオは深い感興を喚起します。
唯一の難点は、作品の根底に流れるルッキズム。醜悪な容貌の校長は内面も低俗で、肥満体型の学生はガリ勉と謗られる。メインキャラクターとサブキャラクターの顔面格差は凄まじく、美形でなければ表舞台に立てません。
No.27『帝国千戦記 ツインパック』(郎猫儿)2007年
三国時代をモデルにした架空中華戦記。黄巾賊ならぬ「青軍」が主人公。
紙芝居ゲームではなく、マップ上を移動し、各地を転戦する戦闘シミュレーションゲームです。戦闘が難しいためフルコンプリートはできませんでしたが、妻子を失った倭人×匈奴の若者の挿話が好きでした。
No.28『invisible sign-イス-』(lapin)2005年
高校を舞台にした全年齢ミステリゲーム。
常々鳥海浩輔さんのはまり役は「満たされぬ愛を眼前にして未練がましく怨嗟を唱える男」*2であると考えていたのですが、本作の和久井遼はまさに鳥海さんの声に適したキャラクターでした。好きなのに素直になれず、相手の気を引く術も知らない男子高校生の敵対的な態度、ツンデレな様子を上手い塩梅で表現されています。
No.29『魔法使いと天使と悪魔~Two Choices of destiny~』(Varenyett)2018年
西洋風異界を舞台に、天使と悪魔の愛を獲得する物語。主人公総受け。
神に従順な天使よりも、自己決定権を有する悪魔でありたいと思わせるシナリオでした。
No.30『Lkyt.』(parade.)2020年
同ブランドの一作目『NO,THANK YOU!!!』(2013年)は、全ルート通して「異邦人が居るべき場所に帰還する物語」でした。2020年に発売された三作目『Lkyt.』は、全てのルートが「共同体の存続のために自己の命を犠牲にする物語」。誰を選んでも終点は同一です。
ブランドの方針ですのでとやかくは言えませんが、金太郎飴は否めません。
BLゲーム簡易感想 1
記憶の整理も兼ねて触れてきたゲームをプレイ順に振り返ってみました。
個人的な思い出が主、ネタバレやネガティブな事項も書いておりますので、ご注意ください。
No.1『DRAMAtical Murder』(Nitro+CHiRAL)2012年
人生で初めてプレイしたゲームにして、初めてプレイしたBLゲーム。
Nitro+CHiRALの名前を覚えたのは中学生のとき。きっかけは漫画版『咎狗の血』(山本佳奈作画、アスキー・メディアワークス)でした。この漫画を皮切りに、アニメ版『咎狗の血』、小説版『Lamento』(後藤リウ、角川スニーカー文庫、全二巻)、漫画版『sweet pool』(車折まゆ作画、リブレ出版、全二巻)と、中学高校を通してNitro+CHiRALのメディアミックス作品に触れましたが、ゲームコンテンツに馴染みがなかったため18歳を過ぎても原作ゲームの購入意欲は湧かず、一生手に取ることはないだろうとまで思っていました。
ところが、英国へ渡航する前日、「日本でやり残したことはないか」と思い巡らしたとき、ふとNitro+CHiRALの存在を思い出しました。調べてみると所持しているwindows7で簡単に起動できることが判明し、Nitro+CHiRAL四作目の『DRAMAtical Murder』を購入してみました。
ちなみに、『咎狗の血』は、アニメ版の主演が鳥海浩輔さんであるのに対し、ゲーム版の主演は「先割れスプーン」なる珍妙な名前の人物だったのですが、はたしてこの「先割れスプーン」氏は鳥海さんに匹敵するほどの演技力を有しているのだろうか、と疑いが拭いきれず購入に踏み切れませんでした。
今となっては信じられない話ですが、何しろゲーム自体初挑戦だったので、SAVE機能とLOAD機能の存在に思い至らず、毎回起動する度にDVDを再生するときのように最初から始めて早送りしていました。
早送りを繰り返し、初めてエンディングに到達したキャラクターはクリア(演:佐和真中)でした。
最も驚嘆したのが、常にテキストが画面に表示されており、一枚絵(スチル)や立ち絵は静止している点。まるで音声と挿絵が付いた小説のような仕様です。声優の演技は好きだが、アニメーションのような動画を観るのは苦手な自分にとって、小説を読むかの如くプレイできる本作は革命でした。現在でも静止画の紙芝居ゲームを絶対視してしまうのは、このときの感動が忘れ難いからでしょう。
No.2『sweet pool』(Nitro+CHiRAL)2008年
漫画版『sweet pool』には、主人公の姉の芹沢枝里香の回想として、以下の場面が断片的に描かれています。
両親の出会いは大学在学中。宗教学を専攻していた女子学生を、のちに父となる男子学生が口説いたのだ。二人は結婚し、長女の枝里香、長男の蓉司を授かる。父との馴れ初めを娘に語っていたある日、母親は枝里香に封筒を手渡した。この封筒の中には、蓉司に関する秘密が眠っているという……。
さて、封筒の中には、何が入っていたのでしょうか?残念ながら、封筒を開封しないまま、漫画版は連載を中断してしまいました。
『DRAMAtical Murder』でBLゲーデビュー後、長年の謎だった封筒の中身を知るべく、原作ゲームに挑んでみました。
枝里香が顔を見せると、心の中で「封筒!封筒!」とコール。今度こそ謎が解けると期待していました。
しかし、いくら読み進めてもまったく封筒の話題が出てこない。それどころか母と娘の会話シーンもありませんし、漫画版第一巻で描かれた主人公の友人の三田睦(演:空乃太陽)の過食エピソードも登場しません。原作ゲームと漫画版は別物と評しても過言ではありませんでした。
結局、全エンディングを閲覧しても封筒の中身は分からず仕舞いで、蟠りが残る結果になりました。
No.3『オメルタ~沈黙の掟~』(花梨シャノアールオメガ)2011年
出会いは、今は亡き某ショップ店頭にて。公式サイトを確認後、後日購入しました。
公式サイトを閲覧して一目で気に入ったのは、この人。
藤堂庄一郎、通称マスター。42歳(主人公のJJとは17歳差)。職業バーテンダー。攻め。声優は星乃煌児。
おじさん攻め好きには堪らないキャラクターです。
早速マスタールートから……といきたいところでしたが、ネットの攻略情報によるとマスターは初回不可*1。仕方なく初回攻略可能な三名の中から
「髭にサングラスに関西弁に年下攻めと、好きな要素が一つもないけど、主人公が受けになるのは橘だけだから」と消去法で橘陽司(演:藍斗勇輝)を選びました。まさかこんな消極的な理由で選択した橘にドハマリするとは!人生とは分からないものです。
初登場時、猿轡を噛まされ、JJに刃物を突き立てられた橘。JJの冷静な判断力と意地を張る橘の対照が光る場面ですが、橘の苦悶の声と表情が素晴らしい。その後のJJと橘の会話の応酬は軽妙で、クールなJJが橘の騒がしいペースに乱される様子も微笑ましい。このまま恋愛に発展するのかと暢気に構えていました。ところが、共通ルート終盤、橘は蛮行を犯します。予測を凌駕した状況に、JJは激怒し、プレイヤーである私は唖然としました。橘の考えが読めない。あのような仕打ちを受けてもなお、橘と行動を共にするJJの気持ちも理解できない。分からないからこそ、知りたくなる。彼らの軌跡を丹念に読み進めました。すると、段々橘がいじらしく見えてくるのです。
これまで濡れ場は常に読み飛ばしていたのですが、本作では橘の一挙手一投足が見逃せず、濡れ場も通読してしまいました。サングラスを外した素顔の可愛いことといったら! 睦言のなんとポエティックなことか!相手を気遣う優しさといったら!橘の言動全てが愛らしく、情感に訴えかけてきます。起承転結の狭間に差し込まれた濡れ場は、性的アピールの場であると同時に、彼の人間性を雄弁に映し出す場面でもありました。
濡れ場にこのような意味があるとは目から鱗。長らく疑問であった「創作物に濡れ場は必要なのか」問題が氷解した瞬間でした。
マスタールートは、おじさん攻めの要点を押さえたシナリオ。こちらも満足できる内容でした。
橘ルートとマスタールートを終えると、すぐさま続編『オメルタCODE:TYCOON』、橘編とマスター編のドラマCD、キャラクターソングCDを買い求めました。橘編ドラマCD『キャンディー・ブラック・マーケット』では、本ルートでは明かされなかった二人の関係が暴かれ、嬉しい誤算に感激*2。さらに二人の過去を辿るため、PSPとPSVitaの差異も分からないのに、PSP移植版『オメルタ~沈黙の掟~ THE LEGACY』とPSVita移植版『オメルタCODE:TYCOON戒』も購入しました(PSVitaでPSPソフトを起動できないことに本気で怒っていました……)。
本編と続編を全クリア後は、他の攻略対象のCDも購入。店舗特典を手に入れるためにソフトを複数買いし、『オメルタ』のSSと記事が掲載された雑誌『Cool-B』のバックナンバーも買い揃えました。『オメルタ』の新しい物語を知る度に、登場人物は別の顔を見せ、血の通った人間として立体化していくようでした。
最も好きなBL作品は何かと問われたら、私は間違いなく『オメルタ~沈黙の掟~』のタイトルを挙げます。
No.4『オメルタCODE:TYCOON』(花梨シャノアールオメガ)2013年
『オメルタ~沈黙の掟~』の続編。
橘×JJ、マスター×JJのラブラブを見るぞ!!と意気込んで起動したら、冷や水を浴びせられたゲーム冒頭。主人公の心身も心配だが、橘とマスターの心境は如何許りか……!!いつJJが暴露するのか、橘は我慢できるのか、マスターの心臓は保つのか、心配半分期待半分で、初回は橘ルートからプレイしました。
冒頭におけるJJの悲運は橘の金遣いの荒さに遠因があると判明した際は、怒りが湧きました(ルート毎に理由は異なります)。
「有り金全てをギャンブルで使い込む」を笑い事にしている場合じゃない。でも、憎めないのが橘という男なのでしょう。
No.5『マスカレード~地獄学園SO/DO/MU~』(PIL/SLASH)2006年
主人公も眼鏡、攻略対象二名も眼鏡。濡れ場多め。
雑誌『Cool-B』の読者抽選プレゼントで当選しなければ、一生プレイしなかったであろうゲーム。この作品に出会わなければ、乙女ゲームをプレイすることも声優の青島刃さんの魅力に気が付くこともなかったので、個人的な分岐点となったゲームです。
本作の特色は、複数の結末を用意できるゲームであるからこそ成立する多層的な構成。
主人公の学生、沼田ヒロシ(演:空野太陽)と攻略対象たち(学生二名、教師一名)の恋愛を描く三ルートを終えると、開かれるのは犯人の心理に迫る二ルート。主人公は退場し、主役を演ずるのは、学校関係者ではない社会人二名。この視点交代によって学生側では知り得ない事実が浮かび上がります。全ルートクリア後に解放される大団円ルートでは、沼田ヒロシが主人公の座に復帰し、各ルートで得た情報を整理しながら真相を解明します。小説では表現し難い周回プレイ前提の謎解きとなっており、ゲームシナリオの自由性と可能性に脱帽しました。
声優陣の演技力も卓越しています。とりわけ尊厳を破壊された際の青島さんの演技には、目を瞠るものがありました。
青島さんと言えば、『オメルタ』の劉漸役に代表されるような高圧的な強者のイメージがあったのですが、本作で演じるのは無力な被害者。
親の威光を傘に来た男が、矜持を折られ、屈する。その絶望感と滑稽さをやや高めの声で表現されています。
この青島さんの弱々しい演技がツボにはまり、本作以降、青島刃出演作品を追いかけるようになりました。
No.6『神様(仮)路地裏繚乱編』(easy-peasy)2013年
神様アズミと裏社会の男たちの攻防を描くW主人公制ゲーム。別軸リバを完備し、プレイヤーが主人公と攻略対象の攻め受けを決定できます。
眼目はオヤジアズミ(演:森上ショウ)ルート。包容力のあるオヤジアズミを目の前にすると、露悪的に振る舞う男たちは怯懦な内面を曝け出します。
BLゲームの攻略対象全員を好きになることは滅多に無いのですが、珍しく攻略対象三名全員を気に入りました。オヤジアズミ×攻略対象たちのルートは幾度プレイしても心が温まります。
No.7『オメガヴァンパイア』(花梨シャノアールオメガ)2016年
ヴァンパイアと人間が共存する近未来の横浜を舞台に、人間から半ヴァンパイアに変化した学生が夜の世界へと足を踏み入れるバトルアクションファンタジー。
攻略対象は四名ですが、個人的にはハインリヒ・シェレンベルク(演:黒瀬鷹)一強でした(なお人気投票では最下位)。
『オメルタ』で鍛えられたのか、ハインリヒルートにてとある場面を迎えたとき、「あ、これ橘で見たのと同じだ!」と、手を叩いて喜んでしまいました。花梨ゲーの業を背負った男たちはどうしてこう目が離せないのでしょうか。
頑健な身体と権力を誇示しながら、その実は弱者であるハインリヒ。仄かな恋情のために全てを失った惨めさと、神の光を喪失してもなお、十字架を下げ、信仰を捨てられない哀れさ。烈烈たる言動の狭間に見え隠れするのは、一人の男の哀切です。
No.8『咎狗の血』(Nitro+CHiRAL)2005年
ゲーム版でも鳥海浩輔さんが主役を務めていたら良かったのに……と躊躇しながらサンプルボイスを視聴したある日、世界の真実を知りました。
漫画版とアニメ版の記憶が残っているため、原作ゲームはおじさん攻めの源泉(演:一条和矢)ルートのみプレイしました。妻子を失った男はやはり良いものです。
No.9『修業旅行~古都迷走地図~』(MERRY BOYS)2005年
学生たちが京都を駆け巡るミステリゲーム。別軸リバあり。一つの事象に対し、複数の回答が用意されており、ルート毎に到達する真相が変化する構成が斬新でした。
攻略対象の中では、女好きで明るい性格の滝太一(演:坪井智浩)と主人公の南部章平(演:水島大宙)の遠慮のない間柄が眩しい。事件を追う道中で更に強固になる二人の友情。滝と南部はずっと仲間でいられると信じたい。
No.10『STEAL!』(Spray)2009年
怪盗養成学園を舞台に、特殊能力を持つ学生たちが任務に当たるゲーム。主人公総受け。クラウディオ・智久・ロッティ(演:三浦祥朗)と土屋太陽(演:笹田貴之)ルートのみプレイしました。
お目当てはクラウディオでしたが、「数学なんて簡単」の発言が気に入らず、彼への興味が霧散。頭脳明晰設定は、鬼畜眼鏡枠の桐生崇征が担うべきであり、夜遊び担当のクラウディオには不要でした。